世の中には、さまざまな読書術があります。本を読むスタイルは多種多様ですが、一体どれが正しいのか心配になってしまいます。これまでも、技術論や方法論がたくさんありました。「本を○倍速く読む方法」「○○リーディング」など挙げたら切りがありません。
たくさんありすぎて、どれを選べばいいのか分からないのです。今回は、近著「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)から、読書のあるべき方法について解説します。
本は読みながら書き込む
「大切な本は、きれいに読みたい」「カバーも外したくないしページも折りたくない!」という人がいます。私は本をきれいに読むことをまったく推奨しません。
気付きがあったら、ページにドンドン書き込んでいってください。書き込む方法ですが、きれいに整理して書き込んではダメです。「平仮名で殴り書きにする」ことを徹底してください。
色は赤と黒の2色で十分です。あらかじめ、黒は気になる箇所、赤は重要箇所と使い分けるのもいいですが、私のやり方は少々異なります。1回目の読書は黒、2回目の読書は赤にしています。色を変える手間が省けますので、スムーズに読書ができます。
1回目、2回目の文字を比較すれば、自分の意識の遷移が確認できます。なぜ、平仮名で殴り書きにすることが必要かというと、漢字を考えている時間が無駄だからです。漢字にコンプレックスを持っている人が多いこともあげられます。
会社の会議でホワイトボードにメモする人を思い出してください。漢字が苦手な人は、難しい漢字を言われてもとっさに書くことができません。こんなときも、メモ係は平仮名か片仮名で書くとスムーズです。
PCを立ち上げてメモをしながら読むという人もいますが、まったくおすすめできません。ページに線を引く場合、PCのノートやWordでは、その作業が瞬時にできません。
線を引くときには、自分の知性が必要だと思うからこそ、その箇所に線を引こうとしているわけです。その知性の感覚を妨げてはいけません。ペンで書き込んでグシャグシャになった本は、あなたにとって学びのバイブルです。愛着も湧いてくるでしょう。
本は汚く書き込みながら読むべし
読書をしながら本に直接書き込むと、頭に残りやすくなります。読んでいる本に直接、「自分のコメント」を書き残してしまうのです。本を読んでいる最中にすぐに書き込むことで、あなたがそのときに感じたことやインスピレーション、考え、アイデアなどを残すことができます。記憶が新鮮なうちに書き込んでおけば、忘れることはありません。
図書館から借りた本に書き込んではいけませんが、自分で買った本であれば、そのとき感じた感覚や感情はすぐに消えてしまうので、しっかりと記録しておくことをおすすめします。読みながら「手書き」で記録することで、「必要な情報」だけが蓄積されていきます。
付箋(ポストイット類)は使わずに、気になる箇所や書き込んだ場所はページの隅を折って分かるようにしてください。付箋は目印として貼っておいても剥がれてしまうことがあります。剥がれてしまうと、気になった場所が分からなくなってしまいます。
あなたが、心を豊かにする一冊に出会えることをお祈りしています。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)