「買った本がつまらなかったらどうすればいいですか?」
「本は最初から最後まで全部読むべきでしょうか?」
このような質問をよく受けます。
私の答えはシンプルです。つまらなかったら、途中で読むのをやめてください。
最後まで読むことは時間のロス
読書は楽しまなければ意味がありません。そのため、自分に合わない本に時間を費やす必要はありません。自分が楽しめる本を見つけて読むことが大切なのです。ビジネス書や実用書の多くは、最初の章で著者が伝えたいメッセージや主張を明確にします。これをキラーコンテンツと呼びます。
第1章を読めば、その本の品質や内容がだいたいわかります。もし第1章を読んでつまらないと感じたら、それはあなたにとって、その本が魅力的ではないということです。読み続けても感動や興奮は得られないでしょう。無理に読む必要はありません。
また、ビジネス書や実用書の場合、「はじめに」「おわりに」「第1章」を読めば、内容の7割は把握できます。「はじめに」「おわりに」「第1章」を読んだ時点で、興味や楽しみ、必要性を感じなければ、その本はあなたにとって価値がないといえます。
私は、「はじめに」「おわりに」「第1章」を読んで興味が湧けば、「第2章」「最終章」、さらにセクションに気になる箇所があれば目を通すようにしています。
現在、私はコラムニストとして活動しており、多くのニュースサイトに記事を寄稿しています。ニュースサイトで執筆するようになったのは2010年頃です。当時は大手IT系企業の役員として働いていましたが、社内で起きた事件に巻き込まれて辞任することになりました。会社から出資したお金も返ってこず、ストックオプションも無価値になりました。
そんなときに、出版社から執筆依頼がありました。じつはその前年度にも別の出版社からオファーを受けていたのですが、仕事と両立するのが大変だと思って断っていたのです。しかし、そのときは「チャンスだ」と思い、引き受けました。ほぼ同時期にニュースサイトからも連載の打診がありました。これが私のニュースサイトで執筆するきっかけです。
要点を押さえてさっと書く
最初は、一般的なコラム記事や話題性のあるルポ記事を書いていました。アクセスはよかったのですが、ある日、出版社の編集者から、書籍紹介を依頼されました。そのときに、私が紹介した本はYahoo! ニュースでアクセス1位になり、Amazonでも売り切れになり、すぐに重版が決まりました。
いまでは、書評サイトは数多く存在しますが、当時、Yahoo! ニュースなど大手ポー タルに書籍紹介記事を掲載している人はいませんでした。定期的に書籍紹介をしていたのは、日本では私だけだったと思います(当時、ニュースサイトの編集者に確認してもらったので間違いはないと思います)。
その後、評判が広まり、毎日何冊も献本が送られてきました。しかし、書籍紹介は私の本業ではありません。時間をかけずに、1冊を10分で読み、30分で記事を書いて、10分で記事の投稿作業を終わらすように努めました。いまでも、1冊の記事にかける時間は数十分〜1時間以内に決めています。
最初の頃は、一生懸命に時間もかけて1本の記事を仕上げたこともありました。そのようなときほどアクセスが伸びず落胆したことがありました。そのため、どの記事も時間を決めて簡潔に書くようにしました。細かく読むことはしません。要点をつかんでさっと読むことが必要だったのです。
本は読みはじめて面白くなければやめてしまってもかまいません。最初に、「はじめに」「おわりに」「第1章」を読んで心に刺さるものがあるか確認してみてください。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)