日本経済新聞の名物企画に「私の履歴書」というコーナーがあります。各界の有名人が1ヵ月で自分の人生を振り返る内容です。
実業家から政治家、アーティストなど様々な方が登場しますが、官僚や大手企業でトップに上り詰めた人は、有名大学から組織に入り、大きな失敗をすることもなく、レールに乗って立身出世した人が目立ちます。
官庁や大手企業では、いわゆる「減点主義」によって人事評価が行われます。過去に前例のないような斬新な実績を上げた人よりも、大きな失敗をしなかった無難な人が選ばれる傾向があるのです。
つまり、組織の中で評価されるためには、成功することよりもまず失敗しないことが大切なのです。
たたき上げの経営者やアーティストはこれとは真逆です。
自分で事業を立ち上げた企業経営者は、世の中に前例がなかった事業をゼロから生み出し、失敗を繰り返しながら収益化していきます。だから破天荒な人生を歩んできた人が多く、多くの失敗を繰り返し、最終的に自分のやりたかったことを実現しています。
これはアーティストも同じです。
失敗を恐れていてはリスクを取ることができず、新たな価値は生まれません。失敗の数よりも成功の数を増やすことを考え、世間の評価を気にすることなくチャレンジを続ける胆力が問われます。
失敗しないように無難な人生を歩んだ人と、自分の野心を実現するために勇気を振り絞り可能性にチャレンジしてきた人。
私は後者の人に圧倒的な人間的魅力を感じるのです。
失敗したことのない人は、リスクを取らなかった人ですから、大きな成功もありません。失敗が多ければ多いほど、たくさんのチャレンジをしてきたことを示しているのです。そんな人にはきっと大きな成功も伴っています。
失敗もしなかったけど、大した成功もない。そんなつまらない人になるよりも、たくさんの失敗をして、そこから成功を手に入れる。そんなスタイルをこれからも求め続けたいと思います。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。