武器輸出と防衛産業振興のイリュージョン

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防衛装備輸出「全面解禁に」 5類型は撤廃 谷内元国家安保局長に聞く 歯止めはNSCで検討

防衛装備輸出「全面解禁に」 5類型は撤廃 - 日本経済新聞
国家安全保障局の初代局長を務めた谷内正太郎元外務次官が日本経済新聞のインタビューに答えた。日本の安保環境は「戦後、最も厳しく複雑だ」と指摘し、日本が平和の構築に積極的な役割を果たす必要があると強調した。防衛装備品の輸出を原則、全面解禁すべきだとの認識を示した。厳しい安保環境の例として、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮や、...

国家安全保障局の初代局長を務めた谷内正太郎元外務次官が日本経済新聞のインタビューに答えた。

日本が置かれた安保環境を踏まえて「総合的、多角的な体制を構築すべきだ。防衛力の強化はその柱になる」と語った。「防衛装備品の輸出は国家安保体制の構築の一環と位置づける必要がある」と訴えた。

現行の三原則は対象とする国や製品を厳しく制限する。谷内氏は何を禁じるかを示す「ネガティブリスト型」を基本とする必要性を強調した。問題のあり得る対象は国家安全保障会議(NSC)のもとで検討し判断するのが適当だとの考えを示した。

これ自体は賛成です。ただその議論があまりも世界で通用しない「平和国家」というキーワードに縛られています。「平和国家」というのは呪いの言葉です。

装備品の輸出を認める「救難」「輸送」「警戒」などの5類型といった制限を原則撤廃すべきだとの考えを明らかにした。国連安全保障理事会の制裁対象となっている国などには輸出を禁止して歯止めをかけることを提起した。

5類型維持と、言っている奴らが政治やメディアにも多数います。こういってはなんですが、強姦の共犯が俺は被害者の手足を抑えただけで強姦していないと強弁するようなものです。「救難」「輸送」「警戒」などの5類型なしに軍隊は存在しないし、作戦もできない。要は火の出る玩具を輸出しなければ平和国家だという幼稚な主張です。

じゃあ、世界最大の軍事産業を持つ米国から輸入しまくる国が平和国家なんでしょうか。武器輸入はよくて、輸出が良くないなら、それは買春はいいが、売春はいかんという理屈と同じです。

そういう認識を政治は持つべきです。

「装備品の輸出に過度に慎重になると、いざという時に日本を支援してくれる国はなくなるかもしれない」と警鐘を鳴らす。ウクライナを念頭に「侵略を受けて自衛権を行使している国にはできうる限りの協力をすればいい」と説いた。

装備品の輸出を拡大する利点として国内の防衛産業の基盤強化を挙げた。「市場が日本に限られなければインセンティブになる」と説明した。ウクライナの戦争で焦点が当たった弾薬の備蓄といった「継戦能力」の維持にも資するとの認識だ。

問題は政治も官僚もメディアも日本の防衛省や自衛隊、防衛産業の当事者意識と能力、実力を過大に評価していることです。他国の何倍も高くてクズを日本以外のどこの国が買うでしょうか。

また国内市場だけを対象にしても同じ分野の零細事業を統合再編成することもしません。そういう現実に目を向けた議論を政府は全くやっていません。

現行の移転三原則のもと安保局長時代に逸した外国からの引き合いが多数あることを示唆した。官民が連携して市場でシェアを増やす韓国を例に挙げ「日本も学ぶべきだ」と唱えた。

韓国政府や軍隊には軍事の常識があるけど、その常識が我が国にはありません。

谷内氏は1月、元政府高官の有志と国家安保局長を議長とする省庁横断の司令塔機能の設置を求める提言をまとめた。将来的な独立行政法人の設立にも触れた。「政府が率先して防衛産業が衰退する懸念を払拭する必要がある」と分析した。

ご案内のように本来必要な合理化を行わずにこういう組織だけを作ってもうまくいくはずがありません。まともに防衛産業育成するならば自民党は海外の事情を真剣に勉強し、公明党を切るべきでしょう。

【本日の市ヶ谷の噂】
水陸機動団の個人装備は水に濡れると、水を吸って1キロ重たくなり、乾きが遅くて悪臭がするので現場では不人気、との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年2月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。