岸田総理が解散したくない理由とは?

岸田首相公式HPより

岸田総理の思惑を邪推

私は昨年の臨時国会における補正予算が成立した時点で、岸田総理は解散に打って出ると読んでいたが、ハズレた。

次に今国会の冒頭解散がありうるかとも見ていたが、能登半島の震災の影響で国会を止める訳にはいかないとなり、また昨年末に噴出した自民党内派閥の政治資金不記載問題によって、来年度予算成立まで、解散はしないことがはっきりした。

では次のタイミングはいつになるだろう?

常識的に考えれば3月末の参院での予算成立をきっかけにする可能性が高いが、ここまで来たら、むしろその可能性は低いように感じてきた。

9月には自民党総裁選が控えており、現状で考えれば岸田総裁がそのまま総裁を続けると考えられる。

政倫審、攻め手欠いた野党 森氏招致要求も立ちはだかる「数の論理」

政倫審、攻め手欠いた野党 森氏招致要求も立ちはだかる「数の論理」 | 毎日新聞
 1日の衆院政治倫理審査会で安倍派(清和政策研究会)幹部たちが裏金事件の経緯や詳細を明らかにしなかったことに対し、野党は一斉に反発した。現役議員たちではらちが明かないとみて、同派の元会長で派内への影響力を維持する森喜朗元首相の国会招致を求める声も上がった。しかし与党に応じる考えはなく、攻めあぐねてい

確かに自民党や岸田政権の支持率は低空飛行を続けているが、実は、低いながらも野党の求めに応じて岸田総裁自ら政治倫理審査会に出席して直接、野党の質問に応じたり、名前が出ている大臣経験者の多くが、今回の政治資金問題の中身を詳らかにしている。そして、野党の抵抗虚しく、岸田政権は今国会において来年度の本予算を衆院で通した。本来、野党がもっと追求できると踏んでいたのだろうが、そうはならなかった。

この原因は、政倫審を開催したことによることが大きい。野党は政倫審に、ましてや岸田総裁自ら出席するとは予想してなかっただろう。つまり、岸田総理は逃げると予測していたのだ。その根拠は、マスコミと野党とその支持者が騒ぐことで、岸田政権の支持率が低下したことで、これ以上の低下を恐れて、ダラダラと予算審議を長引かせると考えていたのだ。

そうなればますます支持率が低下し、追い込まれて解散になれば、或いは政権交代までも考えていただろう。

しかし、現実はそうはならなかった。

ここは自民党国対が老獪だったと見るべきだ。つまり、野党の思惑の裏を描いた形で、政倫審を開催し、予算審議も結果的に日程通り行われた。そもそも政倫審を開催せよと迫ったのは野党であり、その野党が政倫審で岸田総裁を追い込むことが出来なかったのが、野党の全ての敗因だ。野党はタカを括っていたのである。どうせ岸田総裁は政倫審開催を回避するだろうと読んでいたのだ。

その裏を描いた自民党国対は、やはり今の野党など到底、敵う相手ではないことを証明してしまった。

前回の拙稿でも触れたが、野党議員とその支持者は、小野寺予算委員長の不信任決議あんの弁明において、山井議員の3時間にわたる無駄話を評価しているが、あれはむしろ逆効果だったと見るべきだ。また、その直後に提出された鈴木財務大臣の不信任決議案にしても、アッサリと一蹴された。

むしろ、それらを主導した立憲民主党に対して、他の野党から批判の声が出始めている。私は、泉代表の責任論が出てもいいくらいだと考えている。何故なら、仮に今解散されたら、立憲民主党は大きく議席を減らす事態になるだろう。

そして、これが肝心なのだが、今回の政倫審開催と衆院における本予算の決議によって、極端に言うと野党は岸田総理に解散の含みを持たせることになってしまったのだ。これは野党国対の対応の不味さを如実に示すものだ。

つまり、本予算が可決することは決まったので、総理はいつでも解散に打って出ることが出来る。政倫審を開催し、総理自身が出席して説明を行ったことで、野党は他に自民党を追求する術を失ってしまったのだ。

今後、参議院での質疑が始まり、立憲民主党を中心とした野党は衆議院以上に苛烈を極めた攻勢を考えていたとしても、与党議員の中に政治資金不記載問題を抱えながらも今年度中に来年度予算を通すことが決まったのは、岸田政権の離れ業と言ってもいいほど、意味が大きい。日程闘争は、今回の衆議院で終わったのだ。それを終わらせるしかなかった立憲民主党の安住国対は、能力不足を自ら示したと言える。

以後、

・岸田政権を復活させた立憲民主党
・岸田総理は解散するのか?

続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。