晴海フラッグで感じた高度経済成長期の「懐かしい匂い」

3月に入り、晴海フラッグの街も賑やかになってきました。引っ越しで入居する人の数も増え、BRTの乗客数も以前よりかなり増えています。

そして、商業施設も次々とオープンしています。中心部にあるららテラス晴海では飲食店や小売店とサミットストアというスーパーが営業を開始しました。

開店当初のもの珍しさもあってか晴海に住んでいる人だけではなく、わざわざ見学に来ている人も結構いたようです。

混雑している施設を見ていると、現在の日本の一般的な風景とはずいぶん違うと感じました。

まず、何より子連れのファミリー客が非常に多く、平均年齢が50歳を超える高齢化した日本社会の中では、これだけ子供がたくさんいる風景は異質です。

そして、心なしか訪れている人たちがなんだか幸せそうで、将来に対する希望を持ってるように見えました。

何もなかった埋立地に、次々と新しい施設が出来上がり、街が発展していく。経済が縮小し、富が削られて貧しくなっていく日本社会において、明日は今日よりも良くなっているという成長を感じることができる機会は、なかなかないのかもしれません。その様子は、まるで1970年代の高度経済成長期の日本のようです。

私が小中学校時代を過ごした日本は、経済が2桁成長し、新しい商業施設や鉄道が次々と作られた時代です。

確かに、晴海フラッグのマンション群も高度経済成長期に多摩ニュータウンなどに作られた集合住宅のような風情。マンションというより「団地」という表現が似合います。

日本社会は、これから高度経済成長期のような高い経済成長率を実現する事は2度と無いでしょう。人口が減少していく中で、それ以上に一人当たりのGDPを引き上げていくのは極めて困難な作業だからです。

晴海フラッグで、せめて気分だけでも新興国のような成長経済の明るい気分を味わう。果たしてこの前向きな気分はいつまで味わうことができるのでしょうか。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。