経営者には2つのタイプがあると思います。1つはひたすらに企業経営に傾倒し、ストイックな毎日を過ごす人です。ソフトバンクの孫氏や日本電産の永守氏といった起業家はその典型です。
もう1つのタイプは、会社の経営が軌道に乗り、時間と経済的に余裕が出てくると、会社の成長よりも仕事以外のことに興味の対象が広がる経営者です。
言うまでも無く私は後者のタイプですが、そんな「上がってしまった」経営者に多いのが収集癖です。有名ワインやウイスキー、高級スポーツカーや高級時計といった高額商品を集めている有名経営者は珍しくありません。
収集癖とは別にアクティビティとして多いのが、飲食店やワイナリーの経営、そして楽器演奏です。
飲食店経営は、私も銀座にあるワインバーを昨年末まで8年間やりました。自分の好みの内装のお店を作って、自分の好きなお酒や料理を出し、知り合いを連れていく。
最初は楽しいものですが、自分の好みと世の中のニーズがズレていると単なる自己満足に終わり、人気店にはなりません。私を含め、多くの経営者が片手間に始めた飲食店は経営的には成り立ちません。
ワイナリーの運営は、飲食店よりも更にスケールが大きくなります。資金的にも億円単位が必要で、自社畑のワインが飲めるようになるには、少なくとも数年かかります。
しかも自分が好きなワインを自分のワイナリーで造るのは簡単ではありません。下手をすれば、満足できるワインが永遠に手に入らないこともあり得ます。
私はワイナリー経営するなら、代わりに好きなワインをたくさん買いたいと思ってしまいます。
さらに楽器演奏にもハマる人が多いようです。子供の頃や学生時代にやっていた楽器を時間の余裕がある時にもう一度やってみたい。そんな願望は誰にもあるものです。
私も楽器演奏には憧れがあります。10年以上前にピアノをゼロから習ったことがあります。しかし、生まれつきの手先が不器用さが災いして、結局挫折。それ以来「楽器コンプレックス」を持っています。
諦めていた楽器演奏ですが、最近良いことを聞きました。
プロのミュージシャンにバンドメンバーとして入ってもらい、一緒に好きな楽器を演奏する。これなら自分が失敗しても下手くそでも、周りの「セーフティーネット」が優しく守ってくれる。
最近、そんな甘えたやり方で1年後にみんなで発表会をやらないかとお誘いを受けました。ピアノでもギターでも何でもこれから始めて、1年後にその成果を人前で披露する。
あまりに無茶なプランですが、何だかとってもワクワクしました。60代の最初の1年はこれにかけてみるのも面白いと思い始めています。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年3月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。