「テーマ型ファンド」が示唆するマーケットの「終わりのはじまり」

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日経平均が4万円を超え、ビットコインが1000万円を突破したことで、世の中の資産運用に対する関心が急激に高まっています。さらに制度が拡充されたNISAもあり、マーケットの過熱感が高まってきました。

そんな状況を象徴するのが、投資信託の「テーマ型ファンド」の設定です。

テーマ型ファンドとはマーケットで話題になっているこれからの世界を変えていくような特定のテーマに沿った銘柄を選択して投資をするアクティブファンドです。

テーマ型ファンドは過去にもその時々の旬なテーマで設定されてきました。2000年のドットコムバブルの時にはインターネット革命ファンドが、アメリカでシエールガスが採掘されるようになった時にはエネルギー革命ファンドが、そして少し前にはAI革命ファンドが話題になりました。

最近、広告で良く見かけるのが「半導体革命」ファンド(写真)です。

世界の半導体企業に厳選して投資をするというものです。設定来の騰落率も直近では20%を超えており、2000億円近い資金が集まっているようです。

この資産運用会社は今月末にはアメリカのいわゆる「マグニフィセント7(壮大な7社)」と呼ばれる銘柄に投資する「米国大型テクノロジー株式ファンド」を新たに設定するそうです。

マグニフィセント7とは、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、エヌビディア(NVDA)、メタ(META)、アルファベット(GOOGL)、テスラ(TSLA)の7社で、これらの銘柄に等額投資するそうです。

過去の経験則からは、この手のテーマ型ファンドが出た時は、そろそろそのテーマの「終わりのはじまり」です。

アップルやマイクロソフトなどの騰落率を見れば、他の銘柄に比べ既に割高になっていることがわかります。テーマ型ファンドが設定された時は既に相場のピークを越えており、「電車に乗り遅れた人」になる可能性が高いのです。

もちろん現状の想定を更に超える成長をすれば、株価も一段と上昇するのでしょうが、人気化した銘柄を後追い投資するのは分の良い勝負とは言えません。

テーマ型ファンドは典型的なアクティブファンドです。アクティブファンドの評価は上がったか下がったかではなく、インデックス(市場平均)を上回ったか下回ったかによって評価されます。

このような「半導体革命」や「マグニフィセント7」が株式インデックスを中長期で上回るかどうかに関しては、インデックス派の私は極めて懐疑的です。

資産運用は正しい方法を知り、続けることが重要です。株式だけではなく実物資産も活用して、資産を守り増やすためにこれから何をすべきか。その具体的な情報を知りたい方は私が主宰する資産設計実践会の説明会にご参加ください。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年3月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。