本書は、歯科医師であり心理カウンセラー・メンタルトレーナーの著者が書き下ろした心理学メソッド本です。アンガーマネジメントなどと同じく、ネガティブを制御するような心理療法プログラムと考えればわかりやすいでしょう。
「五感の魔法:あなたが主人公になる人生好転の脚本を創る方法」(松谷英子著)ごま書房新社
自己肯定感が低い人がいる
「毎日の生活が閉塞感につつまれている」「なにをするにも気乗りしない」。それでも何かを頼まれると断ることができません。「嫌われたらどうしよう」「気まずくなったら困る」と思ってしまうからです。結果的に不安が先に立ち流されてしまうのです。
しかし、本当にそれでいいのでしょうか? 心の底ではいまの自分にピリオドを打ちたいと思っているのではありませんか? 変化したいのなら実行に移すしかありません。
自己肯定感が低いために、自分よりも人のことを優先してしまう人がいます。それは断れない行動として表れてしまいます。まずは自分の行動を見つめ直さなくてはいけません。
日常で問題が発生すると人はネガティブな意識に陥りやすいものです。問題を必然と考えて「これは自分らしく生きるために必要だったことだ」と考えることができれば、大きな成長があるでしょう。自分軸で生きていると、何か問題が起きたときも「成長するために必要な問題」として前向きにとらえることができます。
「問題は起こしてはいけないもの」として理解するものですが、強すぎると強迫観念になってしまうことがあります。しかし、「自分らしく生きるメッセージだ」「この問題は必要なことだ」と考えれば肯定しやすくなるものです。
自己肯定感が高まれば「自分はどうあるべきか?」という問いが生まれます。迷ったとき、問いは自分を前に進めるきっかけを与えてくれます。
「自己肯定感」は、「私は私、他人は他人」という決意表明により高まります。決意表明によって自分と他人の間に境界線を引くことができるからです。何があっても「それが私。それも私」と受け入れば気持ちも楽になるものです。しかし、多くの人はそれができません。
自己肯定感は何から派生したか
2000年以降、多くの会社で成果主義人事制度が導入されました。成果主義による組織活性化が期待されますが、むしろ制度上の矛盾を露呈する結果に陥ります。社員のマインドは疲弊し将来のパスが見えにくく漠然とした不安が蔓延したのです。
その後、成果主義を定着させる理論としてEQ(Emotional Intelligence Quotient)がブームになります。筆者は、当時、EQJapanという組織に所属していました。この組織はEQ理論提唱者と共同研究をしていた世界唯一の研究機関です。筆者は、営業部門、戦略部門、プロファイラー部門を統括しEQ理論を普及させる活動にまい進しました。
「自己肯定感」は、EQ理論から派生した理論で、私的自己意識と抑鬱性がミックスしたものと考えられます。上手くコントロールするには、楽観性やセルフエフィカシーが必要です。
また、子どものころ、親やまわりの大人たちが注いでくれた愛情や肯定の言葉、承認の態様が影響をお呼びします。愛されて育った人は、自己肯定感が強いことが多いのです。
本書では「自己肯定感」を高めながら、人生をよい方向へと導く方法が紹介されています。人生は選択の連続です。自らを客観視してより良い人生を歩むきっかけをつかみましょう。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)