確証バイアスからの脱却?先入観の影響を理解せよ

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人は先入観を持ちます。対象認識において、誤ったり偏った認識や妥当性に欠ける評価・判断をしてしまうのです。ネガティブな認識や対象に対する評価がもたらされるようなものを「先入観」といいます。

今回は、先入観についてわかりやすく解説してみましょう。

悪口を言われても気にしない人の考え方」(堀もとこ著)あさ出版

人は思い込みをする

堀さんは、人は思い込みをすると言います。

「嬉しいことがあると、『よし!今日も一日頑張るぞ!』と気合が入り、何事もうまくいくような気がするのに、悪口を言われると、何も手につかなくなる『思考停止』に陥ってしまいますよね。これには、人間の脳の構造が深く関係しています。脳は、自分に不利な情報を受け取らないようにプログラムされているのです」(堀さん)

「心理学の言葉で、『確証バイアス』というものがあります。これは、自分で正しいと思うことや、自分にとって都合のよい情報だけを集め、それ以外の情報はあまり記憶に残さないという脳の性質のことです。身近なものでは、血液型占いがそれにあたります。血液型と性格の関連には、科学的な根拠はないとも言われています」(同)

ちなみに筆者の血液型はA型です。A型は神経質だと言われます。たしかに心配性のところもあります。そういう様子を見ている人はことさらに「A型は神経質」だと言いますが、根拠があるのでしょうか。これは、先入観や思い込みで解釈することが可能です。

ある企業の採用情報で次のような方針があったとします。

  • 体育会系の学生は元気がいいので優先的に採用するように
  • 理数系の学生は頭がいいので管理部向きに採用してください

これも、先入観や思い込みの例と言えます。先入観がはいると否定的な印象ほどなかなか変わらないものです。皆さまにも経験はありませんか。

至るところにある思い込み

これらの現象は様々な状況で確認されます。たとえばファッションも同じです。

筆者がオシャレに目覚めた10代の頃、全身、黒づくめのファッションが流行っていました。トップスは黒のブルゾン。「GARÇONS」「KOSHIN SATOH」「DOMON」が定番で、これに細身のパンツをチョイスします。足下は「AVIA」のハイカット、カバンはヴイトンの「ソミュール」をあわせていました。

そして、いまだにワードローブは黒が多いのです。

当時、店員につぎのように言われていました。

「黒と合わせると、すっきりまとめられますよ」
「黒は合わせやすいので、何かと使いやすいですよ」

こうしたセールス·トークを聞いているうちに「とりあえず黒」になってしまったのです。「黒は何にでも合う」との思い込みは、「本当の自分に気付かないまま無意識のうちに振り回わされていることと同じです。

いまとなれば、単なる先入観か思い込みのようにも感じます。

言いかえれば、「カレーはご飯と食べるに決まっている」と言っているのと同じです。「カレーにはナンが常識だと思う人も、パンが常識な人もいるはずです。そんな人たちにすればご飯が美味しいに決まっていると強要されたくはないでしょう。

日常のいたるところで確証バイアスが働き、先入観や思い込みによる情報収集がされています。この機会に日常で役立ちそうなプチ心理学はいかがでしょうか。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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