再エネタスクフォースの主張の問題点はここだ!

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再エネタスクフォースの主張にはいくつか問題点があると思います。

① 容量市場制度の凍結を主張し、安定供給が危ぶまれ、国民生活に多大な影響を及ぼすところであった

現在の安定供給は火力電源なしには成り立ちません。風が吹かず、日が照らない時には、火力がないと電気を供給することができません。仮に、今の市場環境で再エネ100%を実現しようとすると、「南の島のハメハメハ大王」の歌じゃありませんが、風が吹かず、雨が降ったら電気は使用できなくなってしまいます。

ところが、火力電源は電力自由化による競争環境において、事業継続が困難な設備が増加しています。

そこで火力電源に対して、必要な維持費用を提供する仕組みが容量市場です。火力電源は、容量市場制度無くては維持できない状況になっています。

ところが、再エネタスクフォースは、容量市場の凍結を求めてきました。これは、日本の社会や経済、ひいては国民生活を無視した暴論と言えるでしょう。

② 国民の便益を示さず、誤った認識に基づいて発送電所有権分離を主張

再エネタスクフォースは、現在の発電・送配電・小売が一体となった大手電力会社の経営形態を見直し、送配電部門を電力会社から分社化し、完全に切り離すように主張していました。これを所有権分離と言います。

問題は二点です。

一つ目、提言には「実際に所有権分離が主流の欧州では」といった一文があり、あたかも根拠のように記載されていましたが、欧州では所有権分離は全く主流ではなく、フランス、英国、ドイツでは所有権分離が実施されていない電力会社の方が多い。間違った認識に基づいて、主張を行っていたことになります。

二つ目、国民の便益が示されていません。諸外国には所有権分離のほか、送配電部門の一部機能のみ分社化する機能分離という仕組みを採用する国がありますが、提言では所有権分離のみ決め打ちでした。他の手段と比較検討の上、最も便益のある仕組みを採用すべきですが、それすら行っておらず、「結論ありき」と批判を浴びても仕方ありません。

また、再エネへの批判に対して対策を求めており、私からは事実上の言論統制を主張しているように感じました。

その他、発電側基本料金など様々な論点がありますが、私からは問題点として特に2点を挙げさせていただきました。


 

(編集部より)この記事は、松尾 豪 Go Matsuo@gomatsuoのポストを、許可を得た上で転載いたしました。