「万象肯定万象感謝」とは?闇を照らす言葉の力

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先週末、フリーナレーターの下間都代子さんが主催するClubhouseの「耳ビジ★耳で読むビジネス書」のリスナー向けにセミナーを開催しました。

出版企画書の添削がテーマでした。当初は無償サービスで提供していましたが、意外にもニーズがあったことから有料セミナーとして開催したものです。数名の著者も参加していましたが、2冊目の本を目指している方の本を紹介したいと思います。

なりたい自分になるために」(塙真弓 著) Independently published

「万象肯定 万象感謝」とは

塙さんは現在、感謝の心まんまるの会の代表として活動し、チャリティーコンサートの主催や日本難病疾病団体協議会への寄付活動を通じて、他者への貢献を続けています。この本は、限られた時間の中で挑戦し、やりたいことを見つける大切さを伝える一冊となっています。

「音声配信に特化したSNSアプリケーション『Clubhouse(クラブハウス)』 のあるルームに参加していたときのことでした。まるで雷に打たれたように、全身に衝撃が走ったのです。心と体を激しく揺さぶられて、 新たな強いエネルギーが身のうちからほとばしるのを感じました。病気に真正面から向き合い、真に受け入れることができたのです」(塙さん)

「暗闇から前に進みたい、でも進めない、と、力を振りしぼって上げたまま下ろせなかった足が、しっかりと大地を踏みしめて一歩目になった、そんな瞬間でした。頭では理解し、なんとか前向きになりたいと考えてはいても、心の底ではどうしても受け入れることができなかったこと。治すすべのない病気とそれに立ち向かうことができずに苦しんでいました」(同)

そのようなときに、「万象肯定 万象感謝」という言葉に出会います。メディア出演やブリキのおもちゃ博物館で有名な北原照久さんの言葉を知ったことで行動し始めました。

現在、塙さんは感謝の心まんまるの会の代表として、チャリティーコンサートを主催し、日本難病疾病団体協議会に寄付活動を行っています。自ら2つの難病と乳がんを経験しましたが、「万象肯定万象感謝」という言葉に出会い、その経験から時間の尊さを学び、人生の有限な時間の中でやりたいこと、挑戦することの大切さを伝えています。

フィードバックのポイント

セミナー当日、塙さんが提案してきたのが「逆境を乗り越えて笑顔で生きるための決意」をしたためた自らの経験を踏まえて作成した自己啓発自叙伝の企画書です。このテーマの企画書としては完成されています。書いてあることに否定する余地はありません。

ポイントは企画書が成立するか否かです。病気から学んだ時間の尊さと、限られた人生の価値、日常の小さな幸せに気づくことの重要性はあると思います。ですが、あまりに個人的な出来事だと共感がされにくくなります。

たとえば、「ステージ4のガンを克服した私の意識改革」「難病を克服した100人に聞いた魔法の言葉」などのテーマなら多くの人に関心を与えられるかも知れません。

また、ポジティブな生き方は大切ですが、難病に罹患しポジティブに転換する前には大きな葛藤が立ちふさがります。そこを突破しない限り、ポジティブに転換することはできないでしょう。再考し企画を煮詰めてもらえればと思います。

選択する側が目利きになりましょう

セミナーは東京での開催が終了し、大阪での開催が4月6日に予定されています。出版コンサルティングが盛んに行われている中、多くの人々が高額なフィーを支払いながらも出版に至らないケースが散見されます。出版を希望する人は賢い選択をする必要があります。

出版希望者は大勢いるから、情報が乏しい人に「出版させてあげるよ!」なんて甘い言葉をかけて、お金を搾取する人が増えてくるのです。だから、情報通にならなければいけません。選択する側が賢くならないといけないのです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)