「首の痛みや肩こりが治らない」
「頭痛がする」
「気分がスッキリしない」
このような症状のある人にお聞きします。あなたは「ねこ背」ではありませんか。現役の作業療法士が、現場で培ってきた技術をもとに悪い姿勢のクセを書き換えるリセット法を紹介します。
『1日20秒! 「からだ地図」リセット』(小幡茂人著)三笠書房
正しい姿勢こそ不調改善の鍵
皆さまは、筋肉が硬い、筋力が弱い=「悪い姿勢」だと思っていませんか。小幡さんは次のように言います。
「書店には姿勢改善の本がたくさん並び、SNSでも多くのエクササイズが紹介されていて、いったいどれが一番効果的なのだろうと悩む方も多いのではないでしょうか。これらの手法は様々ですが、ほとんどが次の2つのコンセプトであることがわかります。① 硬くなった筋肉を緩める、② 姿勢を作る筋肉をトレーニングで強化する」(小幡さん)
「この2つの理論・コンセプトはほぼ同じです。しかし、本当に筋肉が硬いから、筋力が弱いから悪い姿勢になるのでしょうか。もちろん、姿勢は筋肉が骨格を支えることで保たれるので、筋肉の質や状態で変化しうるものではあります。しかし、たとえば、子どものねこ背を見たことはありませんか?」(同)
子どもは、圧倒的に高い柔軟性があります。 開脚などさせたら、体操選手ばりに股関節が柔軟に動きます。しかし、子どもだからといって、みんながみんな良い姿勢ではありません。これが姿勢に関する鍵だと小幡さんは解説するのです。
「10代、20代の若者のねこ背もよく見かけますが、この年齢は筋力のピークであり、筋力でいえば、40~50代とは1.5倍ほどの差があります。一方、背筋がシャキッと伸びている30代の高齢者もいます。当然、筋肉の柔軟性も筋力も、若い人のほうが良いはずなのに、なぜ姿勢の悪い子ども、若者がいるのでしょうか」(小幡さん)
「この違いの正体が、不調改善の鍵になります。 そして、これを理解していないと、いくら筋トレやストレッチをしても、すぐに元に戻ってしまうのです。姿勢が悪い理由は筋肉だけではありません。本当の原因を知らなければ、筋トレやストレッチをしても解決できません」(同)
ビジネスパーソンに「ねこ背」は似合わない
胸を張ってきれいな背中のS字カーブができている姿勢は、美しくかっこよく見えます。日常生活の中では記念写真を撮るときのようにいい姿勢でじっとしている時間なんて、少ないですから維持が大変です。
そのため、短時間のポーズで「ねこ背」の姿勢をごまかしてみても、1歩足を踏み出せば本来の悪い姿勢が人に戻ってしまいます。
いい姿勢を意識しすぎて、緊張感いっぱいの身体の使い方をしていたら、それこそ疲れてしまい本末転倒でしょう。ねこ背だと30万円のスーツを着てもかっこよく見えません。逆にいい姿勢であれ1000円のTシャツでもかっこよく見えるものです。
ビジネスパーソンにとってスーツは戦闘服です。仕事は第一印象が重要であることは言うまでもありません。この機会に、ねこ背を治すストレッチを試してみましょう。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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