黒坂岳央です。
米国のファーストフード店、バーガーキングで無人店舗の実現に向けて取り組みを加速している。
2022年にはテキサス州で、無人マクドナルドが誕生したことが大きな話題を呼んだ事があった。こうした無人店舗化の最大のインセンティブは「高騰する人件費」である。
A major fast-food franchisee in California says he's rushing to roll out digital order kiosks as part of plans to cut costs over the state's new $20 minimum wage for fast-food workers.https://t.co/spuFlM4a9n
— Entrepreneur (@Entrepreneur) April 18, 2024
カリフォルニア州での最低時給が20ドルに引き上げられた。日本円で換算すると、実に時給3000円である。ファーストフード店は薄利多売ビジネスの筆頭であり、人件費インフレを売価へ価格転嫁するには限界がある。
米国におけるファーストフード店の無人化の流れに、我が国も続くことはできるのだろうか?
日本が無人店舗化が難しい理由
昨今、強力なインバウンド需要と観光や店舗における慢性的人手不足により、無人店舗まではいかないまでもITやロボットで省力化したビジネスを見かけるようになった。
筆者が先日来店した和食店では、オーダーを取りに来る店員さんはいない。利用客はQRコードをスマホで読み込んで希望するメニューをタップして注文、支払いもスマホ決済で完結する。この店舗では人員を調理と給仕に限定している。将来的には給仕と食器の取り下げはロボットが対応するだろう。すでに一部の店舗では給仕役を完全にロボットが対応し、利用者も受け入れている。
だが、社会全体が無人化を急速に進める上で我が国には課題が残る。その理由の1つが高齢化である。日本でも一部店舗で無人化が進む一方、利用者の多くが高齢者であるため、このような無人店舗への対応が難しい状況がある。件の和食店でも高齢者は子と見られる若い人に注文の代行をお願いしていた。
仮に社会全体がすべてこのような半無人化となれば、利用者の一部は対応に苦慮することが予想される。結果として、人力で対応する店舗に利用者が集まることになるため、完全自動化は利用顧客をかなり狭く絞り込むマーケティング以外では難しいのではないだろうか。無人化で労働コストを削減できても、売上が大きく落ちてしまえば経営者は導入コストをペイできないためだ。
無人化はできるだけ進めるべき
現在、日本の労働人口不足は、一部は海外からの安い労働力によって支えられている。東京圏のコンビニやホテルは外国人スタッフであることにすっかり日常の風景になっている。だが、人手不足を海外からの労働力で対応することは、長期的に持続できるかどうかに疑問が残る。
その理由の1つは、円安トレンドの長期化と安い賃金だ。これらは外国人労働者が日本で働く魅力が低下させる。そうなれば、彼らにとって日本は労働者としてではなく、消費者としての魅力に映るだろう。持続可能性はかなり難しいと言わざるを得ない。やはり、店舗無人化はできるだけ進めるべきである。
また、無人化のような技術革新が進む一方で、経済学的に労働集約型であり、相対的に付加価値の低い小売店などの産業における労働者の雇用が奪われる問題は別に議論の必要がある。米国はこれからファーストフード店で無人化が進めば、その分は確実に失業者が増加する。問題は社会全体の無人化は彼らの行き場が限定的になってしまうことにある。
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無人店舗化は長期のトレンドで見た場合に、不回避事項と考えられる。もしかしたら現在のように人間が対応してくれる店舗は、一部の高級店に限られる未来がやってくるかもしれない。
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