キャビアはロシアだけではなく宮崎でも養殖生産されている

FabioBalbi/iStock

キャビアと聞くと、フォアグラやトリュフと並ぶ世界の有名三大珍味で、ロシア産が高級品というのが常識です。

カスピ海でとれたベルーガ(オオチョウザメ)、オシェトラ(ロシアチョウザメ・シップチョウザメ)、セヴルーガ(ホシチョウザメ)の3種が狭義のキャビアと呼ばれています。

しかし、それ以外にもバエリ(シベリアチョウザメ)、ハイブリッド(アドリアチョウザメとシベリアチョウザメ)、ランプフィッシュキャビア(ダンゴウウオ、チョウザメではない卵を着色したもの)などもキャビアとして流通しています。

実は日本国内でもチョウザメを養殖することでキャビアを生産しています。

国内の養殖の中でも宮崎県は20以上の業者が養殖事業に取り組んでおり、キャビアの一大生産地になっています。その中で宮崎県椎葉村で事業をしている株式会社キャビア王国の鈴木さん(キャビア王国の国王)に養殖現場を見せてもらい話を聞く機会がありました(写真)。

鈴木さんは以前はNTTに勤務しており、実家に戻ってキャビア事業を手掛けるまだ30代の若者です。

国内で生産されているキャビアは海外の加工されたものと遜色ありません。しかも、海外ものはパストライズと呼ばれる60度で20分間湯煎をし、低温殺菌がなされています。国内産はフレッシュキャビアと呼ばれる低温殺菌処理や高塩分処理をせず、塩漬けしたのみのものも味わえるのがメリットです。

チョウザメはエサ代があまりかからず、高値で出荷できるので利益率は高いのですが、3年経たないとオスとメスの区別がつかず、卵を持つようになるのに7年から8年かかるとされており、他の魚の養殖に比べ時間がかかるのがデメリットです。

資金化するのに時間がかかることから金融機関からの融資などが受けにくく、資金面の制約から規模の拡大がしにくいという悩みを聞きました。

そこで私が主宰する投資家コミュニティ資産設計実践会が何か協力することはできないかと、色々と知恵を絞っています。

キャビア投資と聞くといかにも怪しげな話に聞こえますが、後継者がいないままどんどん衰退していく日本の第一次産業を資金面でサポートできれば投資のリターンだけではなく社会貢献にもなります。

東京で鈴木さんが育てたチョウザメを解体してフレッシュキャビアを食べるイベントに参加させてもらいましたが、新鮮でとても美味しかったです。国内のキャビアの認知度が上がって、もっと身近な存在になって欲しいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。