怪文書のように語り継がれる定番デマですが、報道機関が定期的にもてはやすため、なかなか消えません。誤りであると指摘し続けることが重要です。改めて記事の内容を見てみます。
「原発安全」は思い込み、耐震性も低い 元裁判長、樋口氏が講演 | 毎日新聞
元ネタは、地裁ガチャと揶揄される原発運転差し止め訴訟で、差し止め仮処分の判断を下した樋口裁判官の発言です。彼は「原発の耐震性は一般住宅以下」と主張し、原発を止めたと自慢げに語っていますが、外からは失笑の嵐です。一方で、身内からは絶大な支持を受けています。
まるで裸の王様状態ですが、問題は定期的に毎日や東京新聞と言った報道機関が彼をもてはやすことです。ゆえにこの誤認識の一人歩きは止まりません。対処のためには地道に正しい情報発信をするしかありません。電事連も能登半島地震を受け、本件に対する見解を発表しました。
記事中には、原発内の震度が5強に対し、変圧器で油漏れが発生したと書かれています。ただし、原発の震度5強は原子炉建屋基礎上の観測値です。基礎は岩盤上なので、周辺で観測される一般的な震度よりも小さくなります。観測される加速度は表層の概ね半分から1/3程度です。
これに対し、被害を受けた変圧器は一般建物と同じ程度の耐震Cクラスです。つまり基礎も浅い位置にあり、原子炉建屋で観測された地震動よりも大きな揺れにさらされます。おそらく震度6クラスはあったでしょう。このように非安全系の構造物の被害を切り取り、原発の耐震性が低いと主張するのは誤りです。
その後は、恐怖を煽るような発言で反原発に誘導しているように見えます。耐震重要度分類や支持地盤という、超がつくほどの基本的認識を無視し、原発の耐震性は住宅以下と言う珍説を唱え、さらに原発を実際に停止する行為は賞賛されるものではありません。なぜ報道機関は好意的に報じるのでしょうか?
まとめ
珍説を唱えることは自由かもしれませんが、これを実務(司法)の場に持ち込むのは誤りです。そしてそれを賞賛する報道機関にも問題があります。
誤りを正すためには、電力、業界団体、さらにその他の人たちが誤りであることを積極的に発信していく必要があります。
(編集部より)この記事は、分電でんこFC(電力・エネルギー業界応援)@denkochan_plcのポストを、許可を得た上で転載いたしました。