6月に迫りくる言論統制がもたらす危機

言論統制のリスクを孕む法定計画を6月中に岸田内閣は閣議決定し、実施する方針のようです。この件に関しては、楊井人文氏が解説しています。引用してみます。

これまで、政府関係機関が「偽・誤情報」を監視し、PF事業者に対処を要請するための法的根拠はなかった。今回それを明記する政府行動計画は、新型インフルエンサ等対策特別措置法6条を根拠とする文書(法定計画)。正式に決定されれば、政府が「偽・誤情報」の監視や対処要請を実施する法的根拠となりうる。国会の審議や承認は必須とされておらず、岸田内閣は6月中に閣議決定し、実施する方針だ。

特に問題なのは、国会の審議や承認は必須とされていない点です。このような重要な問題を、国会の審議や承認を経ずに、閣議決定し実施してしまうことに対して、私は大きな疑問を抱きます。

AIを用いたフェイク画像やフェイク動画を取り締まることには、私は賛成です。一方、自然科学、特に医学に関する情報発信を監視したり、場合によってはプラットフォーム事業者に削除や流通阻止等を要請したりことには反対です。

医学の場合は、何が正しいのかのコンセンサスが得られるまでには、何年も時間がかかることがあります。また、一度得られたコンセンサスが10~20年後にひっくり返ることもあります。医学は、数学や物理学に比べて、あいまいな部分が多い学問であるため、何が偽情報であるかを見極めることは専門家にとっても決して簡単ではありません。

私自身、コロナワクチンに疑問を呈する情報発信をしていますが、反ワクチン派のすべての見解に賛同しているわけではありません。明らかに間違った情報発信もありますが、判断の難しい情報発信もあり、線引きは容易ではありません。

言論には言論で対抗するのが原則

線引きが容易でない以上、偽情報が疑われる情報発信に対しては、政府が専門家やインフルエンサーに依頼し、彼らが政府の意向に沿って情報発信することで対抗することが、正しい在り方です。

専門家やインフルエンサーが政府よりお金をもらって、情報発信をすることを問題視する人がいますが、私はそのことが問題だとは考えません。ただし、その場合において利益相反を開示することは極めて重要です。

情報発信をする場合に利益相反を開示することは必須

何をどのように情報発信しようと個人の自由ですが、特定の組織や個人よりお金をもらって情報発信する場合には、資金提供の有無(金額、時期)を開示する必要があります。論文では利益相反の開示は必須です。ネットの情報発信だから利益相反の開示は不要ということにはなりません。

政府は、過去にコロナワクチンに関しての情報発信を依頼した専門家、インフルエンサーの氏名、金額を公表するべきです。人命に関わる問題を扱っているわけですから、実名を公表するべきです。ニックネームで許されるはずがありません。

人命に関わる問題の情報発信をする以上、それなりの覚悟と信念が必要です。実名がさらされるのが嫌であるならば、政府の依頼を受けるべきではありません。

最後に

6月中に閣議決定される予定の法定計画に対して、パブリックコメントが募集されています。危機感を抱いた人は、ぜひコメントしてください。

なお、受付締切日時は2024年5月7日であり、受付期間は短いですのでご注意ください。