今国会3回目となる今日の憲法審査会は、かなり論点が整理された次につながる会になりました。特に、「緊急事態条項」は誤解を与える表現なので、今後は「緊急時における国会機能維持のための改憲」と呼ぶことを提案し、自民党の中谷筆頭幹事にも了解をいただけたことはよかったと思います。
憲法審査会発言要旨(2024年4月25日)
今国会の憲法審査会も残り7回しかない。前回も申し上げたように、今国会では、5会派で概ね意見の集約が図られてきた「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」に絞り、起草委員会を設置し、条文案づくりを行うことを改めて提案したい。
そのために、立憲民主党と自民党に、それぞれお願いがある。
まず、立憲民主党にも前向きに議論に参加していただくことをお願いしたい。立憲民主党も昨年2月22日に泉「次の内閣」で閣議了承された「中間報告」を見ても、「選挙困難事態」は否定していないし、緊急集会の位置付けについて必要あれば憲法に明記することも検討するとしている。
次に、自民党に2つお願いがある。1つは、緊急事態条項という呼び名を改め、「緊急時における国会機能維持のための憲法改正」と呼ぶようにしてもらいたい。私たちも気をつける。まずは、内閣の権能を強化する改憲ではなく、国会の機能を強化する改憲を優先してはどうか。その意味で「緊急政令」は最初の改憲項目からは外すことを提案する。
もう1つは、これも何度も申し上げているが、自衛隊の違憲論の解消ができない今の9条改憲案は中途半端なので、党内で改めて議論いただき、少し腰を落ち着けて議論を進めてほしい。先週、私の質問に対して、岸田総理は、日米のグローバル・パートナーシップの推進に憲法改正は必要ないと名言した。実務上の障害もない。最優先は「緊急時における国会機能維持のための憲法改正」でお願いしたい。
その上で、両党に質問したいので、それぞれ、お答えいただきたい。
まず、自民党の中谷元筆頭幹事に改めて確認したい。自民党の9条改憲案では「9条1項・2項及びその解釈を維持」としている。ということは、改憲後も自衛隊は、国際法的には軍隊だが、国内法的には軍隊ではないという曖昧さも維持するのか。自民党の自衛隊明記論の改憲案が成立した場合でも、自衛隊は「戦力」でもなく「軍隊」でもないのか、お答えください。
(後ほど中谷筆頭幹事から回答があり、自民党の改憲案でも、自衛隊は「戦力」でもなければ「軍隊」でもない、との回答あり。)
次に、野党第一党である立憲民主党に質問する。
立憲民主党は、選挙困難事態において、参議院の緊急集会が、①70日を超える期間、②憲法上、衆議院の優越が認められる「当初予算案」や「条約」も扱える、いわば「スーパー緊急集会」を認めるべきと考えているのか。また、それを憲法改正をせずに実現できると考えているのか、立憲民主党の考えを教えて欲しい。
「一時的」「限定的」「暫定的」である参議院の緊急集会の権限を超える活用を考えるなら、やはり憲法改正が必要ではないか。解釈で拡大するのは、芦部先生もおそれる権力の濫用につながるのではないか。立憲民主党の「中間報告」でも緊急集会の位置付けについて「憲法又は法律に明記することも検討する。」としており、立憲民主党にも、ぜひ一緒に議論に加わっていただきたい。合意が得られるはずだ。
戦後、自民党が、9条2項の範囲を解釈で拡大することで憲法の空文化を進めてきたが、(緊急集会の運用を定めた)憲法54条2項・3項の範囲を解釈で拡大するといった「新たな空文化」に立憲民主党が与しないことをお願いしたい。
「書いてあることは守りましょう。」
「書いてないことをしたいなら書いてあることを変えましょう。」
立憲主義を重視するなら、憲法の規範性を守ろうではないか。
最後に、森会長に対して、「広報協議会の規程の整備」と、NHK中継の導入の可否について結論を出すことをお願いしたい。
編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2024年5月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。