上司やクライアントから仕事を依頼された際「コイツ、飲み込みが悪いな」と思われたくない。そう思うがあまり、二つ返事で引き受けてしまう人も多いだろう。しかし実は、仕事を引き受ける時こそ相手としっかりと話し合うことが大切だ。
そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、仕事を引き受けるときに押さえなければならない急所の解説を、再構成してお届けします。
仕事を引き受けるときに確認するべき2つの急所
私は上司やクライアントから仕事を引き受けるときに意識していることが2つある。ひとつはその仕事の「デッドライン」を確認すること。もうひとつは「完成時のイメージ」を確認することだ。なぜこの2つを意識することが大切なのか。例をあげて説明しよう。
たとえば上司から、あるレポートを提出するように依頼されたとする。このときにまず確認すべきことはデッドラインだ。上司に「いつまでにやればいいですか?」と具体的な日にちを確認する。
「なる早(なるべく早め)」など不明瞭な指示に空気を読んで何も言わずに仕事を受けてしまうのはNGだ。両者の認識にズレがあった場合、仕事を依頼する側と受けた側の双方が確認のやり取りでストレスを抱えるだけでなく、後々トラブルになりかねない。
デッドラインが「1週間後」と決まったとする。そうしたら次に「完成時のイメージ」を上司に確認する。
たとえば「1週間後の提出だと、こんな感じになりますね。このようなイメージのレポートでいいですか?」と確認する。仕事の完成時のイメージをすり合わせるのがポイントだ。必要があれば紙に図を書いたりして補足しよう。
win-winな条件での合意を目指そう
ここで上司から「もう少し○○のデータを追加してほしい」と言われたら、君は上司にこう提案しなければいけない。「わかりました。ただしそのデータは収集するだけで1週間はかかるので、レポートの締め切りは3週間後にしてもらえますか?」
無理なスケジュールで仕事を引き受けないためにはこうして確認・交渉することが大切だ。このように具体的に理由を説明すれば、まともな上司なら交渉に応じてくれるはずだ。
もし期限が最優先事項なら「では追加のデータは不要だ。1週間後に提出してくれ」と言ってくるだろう。レポートの内容が優先なら「OKだ。3週間後でかまわないから、〇〇のデータは必ず入れておいてくれ」と言ってくれるはずだ。
「自分OK、相手もOK」と思える条件での合意(win-win)を目指そう。交渉が万が一難航しても、本音で落としどころを探れば解決の糸口が見えてくる。
こうしたやりとりは慣れていないとストレスを感じるかもしれない。だが事前にしっかりとお互いの認識を一致しておけば、それから先は驚くほど両者ともストレスなく仕事を進めていけるようになる。ぜひ習慣にしてほしい。
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滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月8日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。