視覚をとらえる、キービジュアルの力とは

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ウェブやチラシ、営業資料のキャッチコピーは大切ですが、同じく重要なのがビジュアルです。

広告など相手を説得する表現は、いわば「一語一絵」。「強いキャッチコピー×伝わるキービジュアル」の組合せが武器であり、とくに「絵」はパッと1秒で本質的なウリを伝えられます。

あなたの商品のウリを1秒で伝えてください」(弓削 徹 著)自由国民社

キービジュアルとは

キービジュアルとは、ウェブサイトやランディングページ、フライヤーなど販売促進や広告表現で使用されるメインのデザインや画像のことです。弓削さんは次のように言います。

「一枚絵ともいうべきもので、アイキャッチやメインビジュアルなどとも呼ばれます。 これにより商品やサービスへの注目を喚起します。そして、キャッチコピーと一緒に提示されることで商品内容を説明したり、メリットを訴求したりします」(弓削さん)

「映画のポスターを思い浮かべてみてください。ポスターに使われているキービジュアルは、 多くの場合は世界的に有名なハリウッド俳優の顔で差別化できていますが、なかには新規性の高いシーンを表現して、遠くからでも あの映画と認識される事例もあります」(同)

さらに、キービジュアルは何かを伝える使命を持っていると、弓削さんはつづけます。

「例えば『テネット』のポスターは主人公の立ち姿が二つに裂かれ、上下逆転してレイアウトされています。 これは、 『時間が逆行する』という本映画のテーマをそのまま表現したものです。過去の有名作でも、『ジョーズ』では海面を泳ぐ人の下に鋭い牙のサメが大きくレイアウトされています」(弓削さん)

「国内作品の『セーラー服と機関銃』ではミスマッチを狙ったタイトルそのままに、セーラー服と機関ではミスさんが機機能をよしたシーンになっています」(同)

コピーの難しさ

キャッチコピーの重要性はビジネスをしている人であれば誰もが理解しています。しかし、失敗例も枚挙にいとまがないのも事実。さて、どうすべきでしょうか。

まず、コピーの実例を見るとわかりやすいと思います。たとえば、夜中の通販番組を見るとそこにはダメなキャッチコピーであふれています。「商品のウリ」と信じているポイントが間違っていることが少なくないのです。

それをどう読んでも、何度考えても、何がすごいのか、どこが他社と違うのかが、一切わからないのです。「キャッチコピーには強い言葉がなければ、印象にも記憶にも残りません。残らないキャッチコピーは、なかったのと同じことです。

「天然セラミド配合」

このように書かれている化粧品は多いですが、視聴者はセラミドの効果について理解しているのでしょうか?おそらくこれだけでは不適であり伝わりません。

美容液には「天然セラミド」が配合されています。保湿効果が高いので肌荒れしません。敏感肌にも安心でお化粧も楽になります。

このように書けばだいぶわかりやすくなります。

「タウリン1000mg 配合」

ドリンク剤のCM でよく見るコピーです。タウリンの効能や意味について理解している人がどれほどいるのでしょうか?なんとなく良さそうなことはわかりますが不十分です。

このドリンク剤には「タウリンが1000mg」 配合されています。医学的にも疲れに効きコレステロール値を下げる効能があることが確認されています。

このように書けば、はっきりと商品の良さがアピールできます。視聴者には、提供される価値、提供される利益が伝わらなければ意味がありません。この機会に、商品やサービスのウリが1秒で伝わる表現方法を理解しましょう。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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