晴海フラッグからの「船通勤」が普及しないと思う訳

晴海フラッグの公共交通に新しい選択肢がまた1つ増えました。敷地内の晴海五丁目船着場から日の出船着場までフェリーが運航されるということです。所要時間わずか5分です。

船で通勤通学というと東京では何とも優雅な感じですが、運航内容を見るととても微妙な気分になってきます。

運航時間は晴海発が午前8時30分、8時55分、9時20分、9時45分の4本だけ。日の出発も午前8時40分、9時05分、9時30分、9時55分です。しかも運航日は最大で毎週火曜日・水曜日・木曜日。これでは毎日の通勤通学の足として使うことはできません。

晴海の船着場はBRTターミナルの横ですからアクセスは悪くはありません。しかし、日の出船着場はJR浜松町駅まで徒歩10分もかかります。フェリーに乗っているのが5分で下りてから10分歩く。これでは朝の通勤通学は優雅なものにはなりません。

しかも、出航時間の10分前には船着場に行かなければなりません。電車やバスのようにギリギリに滑り込むことができませんから更に時間がかかります。万が一遅れて乗り損なうと次の出航まで25分待たなければなりません。

運賃も決して安くはありません。2024年7月までは事前予約で半額になるようですが、通常運賃は大人が500円です。

出航の10分前に船着場に行って、5分船に乗って、10分歩いて浜松町駅に出るというルートに500円払う通勤客は果たして何人いるのでしょうか?

しかも朝しか運航していませんから、帰りは別ルートにしなければなりません。

観光目的で乗船する人もわずか5分だけですから、ほとんどいないはずです。

KieselUndStein/iStock

このまま運航開始しても当初の物珍しさが無くなれば、乗船率は極めて低くなり、いずれ廃止になるのではないかと危惧しています。

せっかくの新しい試みが中途半端に終わってしまうのは何だか残念です。

とここまで勝手な妄想で私見を書いただけなので、実際に就航したら乗船してみて上記の仮説を検証してみようと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年5月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。