1. 中国との貿易が増える日本
前回は世界の貿易(輸出、輸入)の変化と、主要国のシェアについてご紹介しました。
全体として貿易額が増える中、中国の存在感の拡大が顕著なようです。一方で、日本の世界に占める貿易シェアは1990年代の半分程度にまで縮小しています。
今回は、各国の貿易相手ごとの変化についてご紹介したいと思います。
日本の中では対中国の貿易額が拡大していますが、他国はどのような状況でしょうか?
今回は、日本、アメリカ、中国、ドイツと貿易額の大きな国での変化をご紹介していきたいと思います。
参照する統計データはOECDのTrade in Value Addedです。ドル換算値での数値となっていますので、ご注意下さい。
まずは、日本の状況から確認していきましょう。
図1が日本の相手国別輸出額の推移です。
アメリカ向けは1.5兆ドル前後で横ばいなのに対して、中国向けは拡大傾向が続き、近年ではアメリカ向けを上回ります。
他の主要先進国向けはあまり規模が拡大していないようです。
その他地域向けでは拡大していますが、ドルベースだと2008年あたりからアップダウンしつつ横ばい傾向です。
図2が日本の相手国別輸入額の推移です。
やはり近年では中国がアメリカを上回り、最大の輸入相手国です。
輸出に比べてアメリカの存在感がやや小さく、アメリカに対しては輸出超過であることがわかります。
一方で、中国からの輸入はやや輸出を上回る水準のようです。
韓国の存在感も大きいようですが、ドル換算値で見ると近年はやや減少しています。
2. 主要国以外との貿易が増えるアメリカ
続いてアメリカの状況を見てみましょう。
図3はアメリカの相手国別 輸出額の推移です。
対中国が2000年代から拡大していますが、カナダの存在感の方が大きいのが特徴的ですね。
ここではその他に含まれますが、メキシコへの輸出(2020年で172.4[10億ドル])も大きいようです。
アメリカ、カナダ、メキシコ間(NAFTA)での貿易が活発な様子もわかりますね。
また、主要国以外との貿易(その他)の割合も日本のグラフと比べると大きいようです。
日本向けの輸出額は横ばいが続いています。
図4がアメリカの相手国別輸入額の推移です。
アメリカは大きく輸入超過の国ですが、中国からの輸入が大きく拡大しているようです。
輸出では対カナダの方が多かったのですが、輸入では中国がカナダを大きく上回ります。
対中国の輸入超過額もかなり大きいようです。
日本からの輸入は横ばい傾向が続いていて、近年ではドイツと同じくらいの水準となっています。
それ以外はやはりメキシコからの輸入が大きく、2020年で282.1[10億ドル]とカナダを上回ります。
3. 世界各国との貿易が増える中国
続いて中国の状況です。
図5が中国の相手国別輸出額の推移です。
各国に対して右肩上がりに増加している様子がわかりますね。
アメリカが最大の輸出相手国ですが、日本向けもかなり大きい事がわかります。
その他の国々への輸出も大きく増加しています。
図6が中国の相手国別輸入額の推移です。
やはり各国とも右肩上がりで増えていますが、アメリカの存在感が輸出程大きくはありません。
2020年の水準では、韓国、日本、アメリカでそれぞれ同程度の規模のようです。
主要国以外からの輸入が大きく増加している様子もわかりますね。
4. 欧州圏内での貿易が活発なドイツ
最後にドイツの状況です。
図7がドイツの相手国別輸出額の推移です。
ドル換算値だと日本と同様に2008年以降アップダウンしつつ停滞気味です。
アメリカ、中国、フランスの順で規模が大きく、日本向けの規模はかなり小さい事がわかります。
また、主要国以外への輸出規模がかなり大きい事もわかりますね。
ドイツは欧州圏内での貿易が活発だということが窺えます。
図8がドイツの相手国別輸入額の推移です。
やはり主要国以外の規模が大きい状況です。
主要国では中国からの輸入が最も大きく、次いでアメリカ、フランス、イタリアの順です。
日本からの輸入はかなり少ないということもわかりますね。
5. 各国の貿易の特徴
今回は、日本、アメリカ、中国、ドイツの輸出と輸入についてご紹介しました。
各国で貿易は拡大傾向ではありますが、特に中国との貿易が増えています。
日本はかなり中国の割合が大きいですが、アメリカやドイツはそれ以上に域内の貿易が活発である様子もわかりますね。
物理的な距離が貿易にも影響している事が良くわかるデータだと思います。
次回ご紹介しますが、日本も東南アジアや大洋州地域での貿易の割合が大きいようです。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。