バイデン政権はウクライナ戦争が勃発してから一貫して、ウクライナ軍が米国製兵器を用いてロシア領内を攻撃することを認めないと宣言していました。しかし、ウクライナが戦場で劣勢を強いられる中、事実上のロシア領内攻撃の「奨励」することへ方針転換しようとしています。
ニュース分析:バイデン大統領は、ウクライナ戦争における最も重要な決定の一つとなるであろう決断、すなわち、ロシア領土への米軍兵器の発射禁止を撤回するかどうかという決断に向けて動いている。
米国のブリンケン国務長官はウクライナとの「調整」次第では、ウクライナ軍によって米国製兵器がロシア領内に撃ち込まれるような事態が容認されると示唆しています。
ブリンケン氏曰く、現状の米国政府の方針としては、ロシア領内攻撃を「奨励」または「促進」しないというスタンスだそうです。しかし、裏を返せば、ウクライナ軍がロシア領土を直接攻撃することは既に「容認」されており、それが「奨励」される可能性が出現しているのが今現在の状況です。
米国の他には、英国、フランス、ドイツ、そしてノルウェーといったNATO加盟国が続々と、ウクライナがロシア領内を攻撃することを支持する声明を出しています。
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英国製兵器については、ウクライナによってロシア領内で使用されています。
バイデン政権はウクライナに攻撃兵器を供与することは第三次世界大戦につながると警告していました。しかし、核の恫喝をつづけるロシアが張子の虎だと確信したのか、ウクライナを支援する米国も含めた西側諸国は軍事支援の「強度」を高めています。
ウクライナを数日間で制服をすることに失敗したロシアですが、開戦2年を経て、戦力は日に日に充実しています。ロシアは西側から課された制裁を回避するため、中国やインドなどを抜け道として利用することに成功しています。
また、戦時経済を追い風に経済成長さえも記録しています。
一方のバイデン政権はエスカレーションを恐れ、逐次投入でウクライナに対する支援を行ってきました。初めから全面的にウクライナへの米国製攻撃兵器に供与していたら、戦況はまるで違っていたのではないでしょうか?
この漸進主義は、私がベトナムの例えを使う理由の一部です。 「ウクライナに対するバイデン氏のアプローチの『特徴』は…「状況の変化、戦場の変化、ロシアの行動の変化に応じて適応することだ。」
以前までタブーであると認識されていたロシア領内への攻撃が「奨励」される事態はいかにウクライナが追い込まれ、西側諸国がそれに対して危機感を抱いているかを如実に示します。
仮にある国で製造された兵器がロシアに対して使用されたら、その国のことを交戦国だとロシアが認識しても不自然ではないのではないでしょうか?
NATOがロシアとの直接対決に近づいているかどうか尋ねられたクレムリン報道官は次のように答えた。 「彼らは近づいているのではなく、すでにその中にいるのです。」