「フィットネスと私」という本が書けるほど私はエクササイズとの縁は長いと思います。正直申し上げると私の小学校時代はデブで足はのろくて運動会のかけっこ競争では何故か不思議と転びました。コーナーで足が絡まるとか、ゴール寸前でばたっと転び、血だらけになりながらビリでゴールとか。もうマンガの世界です。
その私の人生を変えたのが中学生時代の縄跳び。全校規模で行われた半年ぐらいの運動奨励プログラムで縄跳びの技や回数により段を決めて成績上位者は名前が張り出されるというものでした。ここでスイッチが入った私が毎夜毎夜縄跳び練習をして通常の前飛びは数千回単位をひっかけずに飛び、五重飛びを8回ぐらい飛んで当時のギネス認定も遠くないというところまで上り詰めます。その翌年の学校のプログラムは鉄棒でそれまで逆上がりも出来なかったのがかなりの業までできるようになります。
高校と大学時代はひたすら自転車に乗るも就職してから5〜6年間は一切運動を止めたので顔が満月のように丸くなり、メタボの塊になります。ここで出会ったのがエアロビクス。会社がフィットネスクラブの優待券を配布していて同僚と冷やかしで青山のジムのエアロビクラスに参加した時の衝撃は今でも忘れらないです。
私と同年代、つまり20代の女性たちがレオタードを着て一心不乱にハイテンポの音楽に合わせてエクササイズをするのです。私なんか、一番後ろの方で盆踊り状態で、動きについて行けず、何度も他の人にぶつかって恥ずかしい思いをするとともに「これは面白い!」と開花してしまったのです。
その後、カナダに来てからも数々の有名インストラクターがハイレベルのクラスを提供するジムではまりにはまり、一時はチャンピオンシップを目指し、朝6時からマンツーマンで特訓を受けていたこともあります。その後、ハイ インパクトのエアロビは膝への負担が大きいこともあり、インストラクターもクラスを取る人も激減し、私のエアロビ人生は10年ちょっとで消えるのです。
その後も運動だけは欠かしたことがなく、コンスタントにやっているのでいわゆる体組成測定の体重計に乗ると嘘か本当かは別にして今でも29歳とか30歳が出ます。私はこれ、壊れているのではないかと思いますが、でも嬉しいことは嬉しいですよね。
今年からジムでグループエクササイズを再び取り始めています。一人でやるのとはまるで違うモチベーションがあります。こちらのジムでは同じクラスの人たちはすぐに友達になれるしインストラクターが「ひろー!」と名前を呼びながら教えてくれるので精進しやすいのもあります。
日経に「フェス気分で燃えよ脂肪 5万円チケット争奪、光る演出」という記事があります。幕張メッセで1000人のフィットネスフェスでコンサート顔負けの舞台セッティングで人気インストラクターの勢ぞろいとなれば私だって行きたいです。
エアロビブームの後、フィットネスバイクがグループエクササイズでかなり盛り上がったのですが、それらで共通する人気クラスの秘訣はインストラクターがいかに場を盛り上げるかなのです。つまり祭り状態で個々人がその世界に没入し、120%の能力を引き出せるかにあります。その点で、フェス型フィットネスは継続性も経済性もないのですが、非日常型としてはよくできている企画だと思います。
ところでなぜフィットネスをするのでしょうか?健康増進はもちろんですが、私の場合はそれと合わせ、メンタルヘルスのためにやっています。ストレスフルな日々を過ごす中でフィットネスする1時間は誰にも邪魔されない自分の世界、そして鏡の向こうの自分との対面であり、ナルシストの世界になるのです。この達成感はオールドスクールなスタイルかもしれませんが、チョコザップでは絶対になしえないやり遂げ感があります。
また日本人はもともとフィットすることに長けていると思います。夏の早朝や夕方も街中ではジョギングする人が多く、私が自転車のコースにしている荒川河川敷は皆さんご自慢のマシーンに派手なウェアを着て颯爽と走り抜けていくスポーツ自転車のメッカと言ってもよいでしょう。予約制になった富士山登頂はあんなに大行列していく登山とは驚きでした。これらのカラダを動かす癖こそが長寿の秘訣で健康で長く人生を楽しめる理由でもあります。
普段まったく運動しない人が突然は走ったりするのはむしろ危険なので大股で大きく手を振り、早歩きで5キロぐらいを週3-4回コンスタントにこなすのが良いと思います。速足のコツは両腕の肘を大きく意識して後ろに振るとがっがっがっと歩けますよ。エンタメ感覚でぜひとも挑戦してみてください。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年6月2日の記事より転載させていただきました。