米国のバイデン大統領が発表したガザ戦争の停戦案に反発したネタニヤフ政権閣僚が同政権を「崩壊させる」と警告しています。
与党・リクードと連立を組むイスラエル極右政党・ユダヤの力(オツマ・イェフディート)党首のイタマール・ベン・グヴィル国家安全保障大臣は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がジョー・バイデン米大統領が提示したガザ停戦提案に同意した場合、政府を解体するという脅しをかけてきました。
5月31日にバイデン大統領は「イスラエルの提案」として3段階の停戦案を発表していました。
しかし、ネタニヤフ政権は米国と「認識にへだたり」があるとして、停戦案がイスラエルの提案に基づいているとするバイデン大統領の見解を否定しています。
イスラエル政府は停戦案の合意へ前向きであるという報道もありましたが、それはハマスが反対することを見越した動きであった可能性が高いです。
ネタニヤフ政権は極右政党との連立により辛うじて与党の地位を保っています。そのため、ハマスとの妥協を許さない極右閣僚に配慮せざるを得ない状況に追い込まれています。
仮にネタニヤフ政権は崩壊したとしても、その後誕生する「穏健中道派」政権もハマスとの戦闘を継続させることが予測されます。ネタニヤフ政権は不人気ですが、ハマスとの戦闘は国民的支持を得ています。
ピュー・リサーチ・センターの調査によると、イスラエル人の大多数はガザ地区のハマスに対する自国の軍事的対応を支持しているが、その範囲については意見が分かれている。
ネタニヤフ首相のせいではない。1月、ガザに投下された破壊的な火力の量が「多すぎる」と考えたユダヤ系イスラエル人はわずか3.2%だった。
今回新たに発表されたピュー研究所の世論調査によると、イスラエルの軍事的対応が「行き過ぎ」だと答えたユダヤ系イスラエル人はわずか4%だった。
ネタニヤフ首相は政権浮揚、戦闘継続を図るために米議会へ訪問する予定です。しかし、米国のリベラル系議員の多くが欠席を表明しています。
一時は米国内で超党派の支持を受けていたイスラエルですが、人命軽視するネタニヤフ政権の軍事行動により、その支持が急速に失われつつあります。