再エネタスクフォースはめでたく解散したが、今度は秋本真利事務局長が収賄罪で逮捕されて休眠していた再エネ議連が活動を再開するという。
初仕事は相場で損した新電力の損失補填である。
ギャンブルの負けを返せと要求した再エネTFと再エネ議連
これは初めてではない。2021年1月にもJEPX(卸電力市場)のスポット価格が200円を超えたため、それを30円の小売値で売る新電力が逆鞘になり、「ギャンブルの負けを役所が補填しろ」と業者が要求した。
これに呼応して、今は亡き再エネタスクフォースが損失補填の「提言」を発表した。
これが「異例な価格上昇」だというのは嘘である。世界の天然ガスのスポット市場では、ウクライナ戦争以後の状況を見ればわかるように、価格が一時的に数十倍になることは珍しくない。むしろ2020年までJEPXの価格が人為的に安定化されていたため、価格変動が少なかったのだ。
「制度設計に瑕疵がある」というのも嘘である。もし制度設計に瑕疵があるなら損害を賠償すべきなのは行政であり、電力会社ではない。電力を卸した大手電力も高いスポット価格で調達したので、新電力の損を補填すると大手が大赤字になる。
政治的圧力に屈服して損失補填の「要請」を出した電取委
異常なのは、この程度の価格変動で経営が破綻するほど資本の脆弱な「転売屋」が700社以上も参入したことである。そのうち72社が(匿名で)1300億円超の「還元」を求める意見書を電力・ガス取引監視等委員会に提出した。
それを電取委で審議したが、多くの委員が「公平性に問題がある」と批判したため、法的拘束力のない「要請」にとどめた。しかし電力各社はその要請を飲み、東電は2022年度に163億円のインバランス収支還元損失を計上した。
市場経済の原則を破壊するヤクザ以下の再エネ議連
これをヤクザ政治家と呼ぶのは、ヤクザに失礼である。ヤクザでも博打の負けはちゃんと払う。払わなかったら命を取られる。こんな政治家は法治国家の恥だが、それをマスコミがほとんど報道しなかったため、今度また穴埋めを要求するわけだ。
電力自由化とは、価格メカニズムで資源を配分する制度である。もうかるのも損するのも当然だ。もうかったら黙っていて、損したら大手に補填を要求する再エネ議連の行動は、自由化を破壊するものだ。
秋本の代わりに再エネ議連の事務局長になった三宅伸吾氏は過去の行状を検証し、議連のメンバーも公表して、堂々と議論していただきたい。