「仕事がデキル人」とはどのような人だろうか。
まず、スピードが早い人のことを「仕事がデキル人」と呼ぶことは多い。仕事のクオリティは人によって評価が異なるが、スピードは可視化しやすい。10日かかる仕事を1日で終わらせれば誰もが早いと感じるだろう。
仕事はスピードがすべて
スピードが上がらない人の特徴として「自分のやり方にこだわりすぎる」という特徴がある。自分で創意工夫し、努力して身につけたスキルだから「こだわり」がある。しかし仕事は成果を出さなくては意味が無い。
仕事は充足感や、達成感を得るために存在しているのではない。最速で成果を出すための手段を選ぶことが肝要である。しかし、その手段はいつも自分で編み出さなければいけないわけではない。時には他人のやり方に目線を移すことも必要である。
頑張っても成果が出ず、仕事のスピードも上がらない。こんな時には、仕事が早いことで有名な人の仕事ぶりを参考にしてみる。すると次のようなことがわかった。
① ゼロから提案書をつくるのではなく頻度の高いものを事前につくっておく。
② パソコンのショートカットキーのパターンを覚える。
③ 単語登録や文例登録をしておき、一発変換で文字入力できるようにする。
④ 担当レベルではなく決裁権を握る人に事前に根回ししておく。
※ 探せばほかにも出てくるだろう。
外資系コンサルティング会社に勤務しているとき、企画書はすべてイントラにぶら下がっていた。社名と業種を書き換えて提案の際に持参していたのである。企画書をゼロから作成すると時間が掛かる。非常に効率的な方法だと感じた。
ただし、注意も必要である。提案企業が製薬会社にも関わらず、書かれている内容は別業界だったなんてことも少なくない。
自分のやり方をリセットする
筆者のケースを紹介しておきたい。20代後半、ある理由で転職活動をしているときバブルはすでに崩壊し超氷河期の時代にはいっていた。どうにか某コンサルティング会社に3ヶ月の契約社員で潜り込むことができた。3ヶ月で実績があげられなければクビである。
入社当日、営業会議に参加したところ飛び交う会社名は有名企業ばかりだった。名前のあがった会社の多くはコネがあった。社長に話すと「連れて行け」。約1ヶ月で、役員以上と面会できる20社余りを訪問した。3ヶ月契約が、翌月からシニアマネジャーに昇進し報酬も数倍になる。その後は、トップにリーチする方法を体系化していった。
ある日、他社の役員からなぜトップに会えるのか聞かれた。説明したら講演依頼があった。その役員は、半年後に研修会社を立ち上げた。いまの売上は数億円規模だ。
デキル人は、使えるなと思えば、相手が年下だろうが、一兵卒だろうが真剣に話を聞きに行く。ありのままを素直に受け入れることが重要ということになる。「虚心坦懐」ということだろうか。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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