「卵かけご飯が大好き」「釣りが一番楽しい」「売れていない商品にこそ興味がある」。これは筆者の知人(上場企業の経営者などのVIP)に共通する嗜好でもある。
彼らのようなVIPと付き合うには雑談力が役に立つ。とはいっても、お互いの緊張をほぐすアイスブレーク程度で構わない。その訳のとおり「場を温める」ことが目的である。
最初に少し雑談をすることで、よりスムーズに打ち合わせに入ることができる。共通項以外にも、相手の個人的な情報や、趣味嗜好が垣間見える。好きな俳優や異性のタイプ、あるいは食の好み、家族構成や生年月日、子供の学校や受験などの私的情報もある。
覚えておくと、相手との仕事を円滑に進めるうえで潤滑油になりうる情報もある。ただし、そうした個人的な情報は、メモをしてはいけない。何気なく明かした個人的な事柄を書き留められることを、好ましく思わないからである。
地位の高い人は、個人情報の扱いにはナーバスになる。わかりやすく説明すると、個人情報を書き留められるということは、目の前で会話が録音されていることとニュアンスは変わらない。当然いい印象は持たれない。
打ち合わせノートは、公になることを前提にはしていないから、書き留めておいても、相手に実害が及ぶ可能性はほぼない。それでも、相手の目の前で書かないほうが無難といえる。
VIPの所作から何を学ぶのかという視点も重要である。たとえば、人との争いを避ける傾向の人が多いと言うことである。ビジネスで話がこじれても裁判に移行はさせない。
解決する時間と労力が惜しいのである。お金で解決する問題ならお金で解決したほうが早い。譲歩してでも妥協するのがVIPの思考だ。
VIPは豊富なお金を所有している。一般人は、お金が手に入ることで幸せになれると「錯覚」をする。しかし、実際にお金持ちになっても幸せとは限らない。
人はお金に困らなくなったときに何に幸せを感じるのか。人が人生を生きるにあたって何に価値を感じるのか。それがわからなければVIPとはいえないだろう。
多く人は、お金という存在に縛られて一生を終える。お金という存在を抜きにして何に価値を見出すのか。最終的には、どのように人生を楽しみたいのか。考えさせられるテーマでもある。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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