副業、運動、勉強などに思うように取り組めない時、自分の意思の弱さを嘆く人も多いだろう。しかし実は、意思の力よりも「やるか、やらないか」の選択肢を作らないことが大切だ。
そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、習慣化のための3つの秘訣について、再構成してお届けします。
習慣化の3つの要件
私は何かを習慣化したい時、次の3つの要件を意識するようにしています。
- やる場所を決める
- やる時間帯を決める
- やる時間を決める
一つずつ説明していきましょう。
まずは1.「やる場所を決める」からです。何かを習慣化したいなら、まず取り組む場所を決める。ここからスタートしましょう。なぜこのことが大切なのか。その場所に行けば自動的に習慣に取り組むことができるようになるからです。
たとえば私の場合は現在、執筆はスターバックスで行うことが多いです。7時に開店するので店に入ります。毎回同じコーヒーを注文し、同じ席に座ります。ノートパソコンを開き、そのまま流れるように執筆に入っていきます。
ここでのポイントは、店に入ってから執筆するまでが一連のルーティン(流れ)になっていることです。店に入ってから席に座って、文章を書きはじめる。ここまでが一連の作業・流れになっています。
だからこそ店に入ってしまえば、迷うことなく執筆に取り組むことができます。実はこの迷いが生まれないというのは、習慣を作る際に、ものすごく大切な要素となるのです。
「やるか、やらないか」の選択肢を作らない
考えてみてください。多くの人が習慣を作ることができないのは、いざ取り組もうと思った時に自分の中に心理的な抵抗を感じるからではないでしょうか。
たとえば毎日ランニングする習慣を作りたいとします。そう決意した時はいいのですが、いざ翌日走りに行こうとすると、途端に「面倒くさい」「走りたくない」と感じます。これが心理的抵抗です。私はこれを「心理的ハードル」と呼んでいます。人はこれを感じると「後にしよう」と行動を先送りしがちです。
ではどうしたら先送りせずに取り組むことができるのでしょう。対処法はいくつかあります。その一つが先ほどお話しした、「迷いをなくすこと」なのです。人は「やるか、やらないか」の選択肢があると、先送りしてしまう傾向にあります。
逆に迷いがないと、取り組むことができます。たとえば締め切りが迫っている仕事を先送りせずに済むのはなぜでしょう? それは先送りするという選択肢がないからです。締め切りギリギリなのに先送りしてしまえば大変なことになるのがわかっている。だから締め切りギリギリの場合は「やるか、やらないか」の選択肢がありません。あるのは「やる」のみです。だから先送りせずに取り組むことができる。そういうことです。
このことからわかるのは、あることに確実に取り組みたいなら、「やるか、やらないか」の迷いをなくす。すなわち「やる」のみの状態をいかに作り出すか──これが大切になってくるということです。その一つの方法が、私がスターバックスに入るように、一種の流れ・ルーティンを作ってしまうことなのです。
先ほども説明した通り、私の場合、店に入ってから執筆までが一連の流れになっています。だから店に入ってしまえば「執筆するか、しないか」と迷うことがありません。店に入る=執筆するなのです。
このように、習慣化したいことがあるなら、それを行う場所を決めて、そこに行ったら必ず取り組む。そう決めてしまいましょう。そうすれば自然と私のように流れ・ルーティンを作ることができるはずです。
ポイントは、その場所(たとえばスターバックス)に着いたら、一番最初に習慣に取り組むことです。ゆっくりコーヒーを飲むのはいいことですが、作業を終えてからにしましょう。
一息ついてからやろうと思うと、必ず迷いが生まれるからです。そうすると「今日はいいや。このままゆっくりしよう」となります。店に入ってからアクション・行動までを一連の流れにする。
そうすることができれば、店に入れば必ずその習慣に取り組むことができるようになります。
取り組む時間帯を決めると、さらに迷いがなくなる
次は2.「やる時間帯を決める」についてです。取り組む時間帯を決めることも習慣化には有効です。私の場合は会社の仕事をはじめる前に執筆すると決めています。やる場所だけでなく、取り組む時間帯とセットにすることでさらに「迷い」をなくすことができます。
たとえば「今日どこかの時間でやろう」と思うと迷いが生まれます。日中忙しくしていると気づけば夕方になっていて「明日やろう」となってしまう。会社員であれば予期せぬ残業になり、時間が取れない。そんな時も出てきます。毎日確実に取り組みたいなら「いつ取り組むか」を決めてしまうのがベストです。
会社員なら、始業前が一番おすすめです。理由は簡単。この時間帯が一番確実に取り組めるからです。先ほども書きましたが夜の時間帯は急な仕事や用事が入ったりするリスクがあります。始業前の朝早い時間帯なら他人から連絡が来て取り組めないというリスクがなくなり、より確実に取り組めるのです。
夜の時間帯は疲れを感じる人も多いはずです。そうすると「今日はやる気が湧かないから明日にしよう」となりがちです。朝の時間帯なら気力も十分あります。夜の時間帯よりも取り組める確率は圧倒的に高くなります。
毎日15分でも何かを続ける
最後に3.「やる時間を決める」についてです。毎日どれだけの時間(分数等)取り組むか。これを決めるのも有効です。心理的ハードルを下げることができるからです。どういうことか、説明しましょう。
実は現在、私は毎日小説を15分執筆しています。なぜたった15分なのか? 今の私には、それ以上の時間取り組もうとすると着手することがむずかしくなるからです。どういうことかというと、今の私にとって小説を書くことは実現したいこと・やりたいことではありますが、一方で、優先順位がものすごく低いのです。
1日に使える時間は限られていて、自分のキャリアを考えると、今はビジネス書を書くことなどにもっと時間を使いたいのです。しかもビジネス書と違い、小説は今まで書いたことがないので、当然思うように書けません。そうすると余計取り組みにくくなります。こうした理由から、小説を書くことは今の私にとっては心理的ハードルがとても高くなっているのです。
ではどうすれば小説に取り組めるのか。その答えが「毎日15分だけ取り組む」だったわけです。通常私は何かに取り組む時に、30分を一つの単位としています。しかし小説の場合、30分でもキツいと感じました。毎日ムリなく取り組める単位はどれくらいだろう。そう考えた時に15分という結論に達したのです。
ここでお伝えしたいことは、取り組む時間を調整することで心理的ハードルを下げることができるということです。私の場合、小説を書くという行為を続けるのに30分は厳しいと感じましたが、15分ならなんとかできそうと思えました。心理的ハードルが下がるからです。
このように、習慣化したいことがあるなら、ムリなく毎日取り組める時間を設定することが大切です。取り組む時間は30分を基準としながら、このように自分のモチベーションや優先度合いに応じて決めるといいでしょう。
なぜ30分なのか。科学的根拠などももちろんありますが、単純に30分なら「できそう」と思えるからです。そして30分なら、一定の成果も見込める。そう感じる人は多いのではないでしょうか。
感覚的な話にもなりますが、多くの人にとって30分が取り組みやすく、成果も期待できる時間数だと私は思うのです。キリもいいですよね。これが習慣化の3つめの要件になります。
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滝川 徹(時短コンサルタント)
1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年6月5日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。