自由主義者でありオーストリア学派の経済学者でもあるアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領。その活躍については、この自由主義研究所の記事で何度か紹介してきました。
今回はミレイ大統領に関して、アルゼンチンのライターの記事を紹介しようと思います。
Marcelo Duclos(マルセロ・デュクロス)さんの2024年3月26日の記事「¿Quién es para Javier Milei el mejor economista de toda la historia?(ハビエル・ミレイは歴史上最高の経済学者は誰だと考えているのか?)」です。※下記から全文が読めます。
¿Quién es para Javier Milei el mejor economista de toda la historia?
はじめに簡単に、筆者のマルセロさんについて紹介します。マルセロさんは、PanAm Postのジャーナリストです。
「La revolución que no vieron venir(ミレイ:彼らが予想もしなかった革命)」という本の共著者(第2章のミレイの思想のところの担当)でもあります。現在はアマゾンでスペイン語版のみ入手可能です。
※ この本は本当にすばらしい内容ですので、ぜひ日本でも多くのかたに読んでほしいと思います。自由主義研究所で、日本語に翻訳して出版できないかを現在検討中です。
Milei: La revolución que no vieron venir (Spanish Edition)
ちなみにマルセロさんは、5月にミレイ大統領がルナ・パークでライブをしたときのベース奏者でもあります(下記の動画参照)。
※ マルセロさんの提案により、急遽、ミレイ大統領とのライブ出演が決まったそうです。面白いですね!
#MILEIenLunaPark | El presidente @JMilei entró entonando Panic Show, en compañía de su 'Banda Liberal' integrada por el diputado @NYGBertie, su hermano @joacobl75 y nuestro columnista @marceloduclos pic.twitter.com/JAk0tw9Bki
— PanAm Post Español (@PanAmPost_es) May 23, 2024
※ 翻訳記事の太字は筆者です。翻訳は一部意訳しています。
Quién es para Javier Milei el mejor economista de toda la historia?
(ハビエル・ミレイは歴史上最高の経済学者は誰だと考えているのか?)
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、新たな公開プレゼンテーションの中で、アルゼンチンの教育システムがこれまでいかに偏っていたかを語りました。
大統領はこれまで何度か経済科学大学を”ケインズ主義者”と呼んできましたが、今回は、マルクスの思想が世界にもたらした災難にもかかわらず、マルクスは非常によく知られていると強調しました。
しかし、ブエノスアイレス大学で「ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスとは誰か?」と聞いたら「オランダの9番目(訳注:日本人の筆者には正確には誰を指すか不明です。経済学者のミーゼスは知られておらず、スポーツ選手と間違える人が多いという意味のようです)」と答える人が多いだろうことを、ミレイは残念がりました。
ミレイにとって、オーストリアの経済学者(1881-1973)(訳注※ミーゼスのこと)は、マレー・ロスバード(ミーゼスの弟子)と並んで歴史上最も重要な経済学者です。
不思議なことに、今朝、エリサ・”リリータ”・カリオが、ロスバードの研究についての講義を行うと宣伝していました。印象的だったのは、彼女がロスバードの発音を間違え(Rotwald)、広告のスペルも間違っていたことです(Rothbald)。
これはミレイの主張(アルゼンチンでミーゼス等のことが知られていない)を証明しています。
アルゼンチンの退廃の一端は、指導者たちの文化的貧困によって説明できます。指導者たちは、私たちが無意味に考え続けている問題の多くを解決してきた偉大な思想家たちをまったく知らないのです。
ミーゼスの経済学への貢献は、非常に重要です。
来月、私がニコラス・マルケスと共著した本が出版されますが(訳注※この記事のはじめに紹介した「ミレイ:彼らが予想もしなかった革命」のこと)、その中で私は、この思想家(ミーゼスは「経済学者」以上の存在であった)と彼のオーストリア学派の簡単な紹介に章を割いています。
そこで読者は、このテーマについての予備知識がなくても、このテーマについて明確な考えを持つことができ、この著作の内容を理解するのに必要な基礎知識を持って、著者を直接読み始めることができます。
オーストリア学派の第二世代の代表的な人物であるミーゼスは、社会主義の理論を葬り去った経済学者として歴史に名を残すに値します。
1920年代、西側諸国がソビエトの現象に幻想を抱いて見守っていたのに対し、ミーゼスは共産主義のユートピアを完全に解体しました。
どうやって解体したのでしょうか?
単純なことですが、マルクス主義が示唆するように「平等」を追求し、私有財産をなくすと、経済は解決不可能な問題に悩まされることになると警告したのです。価格とは、人々が財産そのものを評価した結果だからです。
私有財産をなくすことは、価格制度をなくし、資源配分の可能性をなくすことです。特に、中央集権的な計画という致命的な傲慢さがあれば、これは絶対に基本的なことです。
社会主義は「理論的には良いが、実際には失敗する」と考える人が多いですが、真実は、良いものでも悪いものでもなく絶対に不可能なものなのです。だからこそ、社会主義が適用されようとするときはいつも、悲劇と同義なのです。
ミーゼスの予言は、ソビエト連邦の失敗からキューバの災難、そしてベネズエラの災難に至るまで、文字通りに実現されています。
私有財産のない(あるいは侵害され規制された財産)、市場価格のない、すべての実験に共通するのは、配給カードと長蛇の列を伴う欠乏です。
もちろん、政治的な領域で繰り返される必然的な権威主義的プロセスもあります。
ミーゼスの弟子のフリードリヒ・ハイエクも教えているように、政府の経済への介入は遅かれ早かれ、個人の自由を著しく侵害することに行き着くのです。
社会主義の追求がミーゼスのテーゼを裏付けたのと同じように、規制された「資本主義」経済もまた、ミーゼスの正しさを証明する結果となりました。マネーサプライや金利が人為的に操作されるたびに、経済は誤ったシグナルで動くようになりました。
それは投資家を時間の経過とともに持続不可能な投資に誘導し、市場の歪みが解消されると必然的にバブルのようにはじけました。
この偉大な知識人ミーゼスの死後半世紀以上が経過しましたが、現実は彼の警告を裏付けるものになっています。
そして、全く逆のことがマルクスに当てはまります。マルクスは完全に反論されているにもかかわらず、半ば建設的なものであるかのように研究され続けています。
しかし、幸いなことに、現在ミーゼスはアルゼンチンだけでなく、世界中で影響力を発揮し始めています。
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マルセロさんの記事の翻訳・紹介は以上となります。
日本ではミーゼスの名前はまったく知られていませんでしたが、近年少しずつ、その名前や思想が知られ始めていると思います。
この自由主義研究所のnoteでも、ミーゼス・ロスバード・ハイエクなどに関しての記事を今後も紹介していきたいと思います。
編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。