iPadがPCの代わりにならない3つの理由

黒坂岳央です。

筆者はPCもスマホもタブレットも個人、法人名義でたくさん持って使い分けている生粋のガジェット好きだ。新製品が出るとすぐに買って新機能を使い倒すようにしているし、タブレットでいえばiPadだけでもいくつも持っている。

だがどれだけ高性能スマホやタブレットを買って使っても「完全にPCの代わりにはならないな」と感じる。確かに初代iPadと比べれば、直近のM4チップのiPad Proは非常に高性能であり、できないことなどほとんどないように思える。動作編集もサクサクだ。

しかしながら、やはりiPadをはじめとするタブレット機はPCを完全に代替することはできないと思うのだ。その理由を取り上げたい。

Apple iPad
Appleホームページより

1. 外部キーボード使用時のIME

1つ目はiPadに外部キーボードを接続した時の日本語入力システムだ。iPadにはGboardというGoogleの優れた日本語入力システムをインストールできる。しかし、iPadOSやiOS機器に外部キーボードをつなげると強制的にプリインストールのIMEになってしまう。サードパーティの日本語入力システムを使うことができないのだ。

「なんだ、そんな小さなことか」と思われるかもしれないが、毎日膨大な文章を書く執筆家にとってこれは大変に大きいことなのである。

音声入力で文章を書き、それをChatGPTで修正し、その上でキーボード入力で仕上げるという工程を経るのだが、やはり文章作成の仕上げを担う最重要ポイントはキーボード入力である。そしてプリインストールのIMEの精度はGboardと比べると非常に優秀、とは言いづらい部分がある。一発で正確な変換を出し続けることが難しく、それをするには辞書登録を併用しなければいけない。

自分が使用しているiPad miniはわずか200g台の軽さでどこへでも持ち運べるのが気に入っているが、外出先での文章作成の文字変換がネックになるので、結局1kg以上のMacBook Proを選択せざるを得ない。外部キーボードでもGboardが使用できたら最高なのだが、今のところそうなる予定はない。

2. サードパーティアプリの限界

ビジネスでPCを使う場合、どうしてもサードパーティのアプリケーションの力を借りる局面が少なくない。確かに今どきほとんどのソフトウェアはクラウドで簡潔するようになっているし、自分自身もセキュリティの問題もあり意識的にほとんどクラウドサービスで処理するようにしている。

しかし、それでも特にWindows上でのみ動作するかゆいところに手が届くアプリを完全に切り離すことは難しい。Windowsに限定した話ではなく、MacOSでも同じだ。ローカルで稼働するビジネスアプリケーションはまだまだ多く、タブレット機でこれを持ち出すことが現実的ではないため外出先で仕事をするならPCを必要とする。

「それなら外出先からリモート操作をすればいいではないか」と言われるかもしれないが、タイムラグがあったりエクスポートしたファイルの受け渡しの手間や、スリープ状態のPCの電源投入の問題もある。これにはWake On LANを使うか、リモート操作できるIoTボタン押しロボを使えば良いが、そこまで手間をかけるなら最初からPCを持ち出す方が手っ取り早いとなってしまう。

この問題はiPadが悪いわけではないのだが、完全にPCを放棄することの難しさの原因になっている。

3. マルチタスクが難しい

最後はマルチタスクが難しい問題だ。

PCの最大のメリットはマルチタスクがしやすいことにある。ビジネスアプリケーションを立ち上げてプチ作業をしながら、傍らで動画編集のエンコードを進行させ、BGMを流すなんてことが簡単にできる。

しかし、同じことをタブレットでしようとするとなかなか難しい。アプリ間の移動はできなくはないが、どうしてもPCほどにはいかない。タブレットにマウスとキーボードをつなげてPCのようにしても、である。

誤解のないように言いたいのは、筆者はiPadやその他のタブレットを大変気に入って使っている。スマホでは小さすぎるが、PCを持ち運ぶほどではない作業や情報の閲覧機としては軽くて最高のデバイスである。そしてライトユーザーはiPadだけでも、やりたいことはほとんど完結させられるだろう。しかし、ビジネスヘビーユーザーやガジェット好きにとっては、「iPadがあるからPCを完全に切り捨てる」とはいかない事情があるのだ。

 

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