プーチン露大統領が北朝鮮へ:拉致問題とウクライナ支援で揺れる日本

ロシアのプーチン大統領が18日夜から北朝鮮を訪問する予定です。24年ぶりの訪朝となります。

プーチン氏は今回の外遊で北朝鮮だけではなく、ベトナムの訪問も予定しています。ベトナムとは経済関係の強化を図り、西側の制裁包囲網からの抜け道を増やす思惑が透けて見えます。

プーチン大統領と金正恩総書記(2023年9月13日、クレムリン公式サイドから)

北朝鮮はこれまで秘密裏にロシアへ弾薬や短距離弾道ミサイルの供与を行ってきました。今回のプーチン氏の訪問を機に、軍事支援を一段と強化させることが予測されます。

1950年に勃発した朝鮮戦争の際にはロシアから支援される対象だった北朝鮮ですが、約70年の時を経て立場が逆転しています。

ワシントンとモスクワは70年前、北(北朝鮮)と南(韓国)の戦争の火種となった朝鮮半島に武器と援助を提供した。そして今、歴史が逆戻りする運命的な瞬間に、ロシアとアメリカは同じ同盟国に手を差し伸べ、ひどく必要とされている軍需品を供給している。

プーチン氏は訪朝前に、ロシアと北朝鮮の歴史的友好関係について言及した論文を発表し、そこで「日本軍国主義」を非難しています。

ウクライナ侵攻前にもプーチン氏は「ロシアとウクライナ人の歴史的一体性」と題する論文を発表し、ウクライナ併合を正当化しました。

ロシアと朝鮮民主主義人民共和国の友好・善隣関係は、平等、相互尊重、信頼の原則に基づき、70年以上に遡り、輝かしい歴史的伝統に富んでいる。両国民は、日本軍国主義に対する困難な共闘の記憶を大切にし、戦死した英雄を称える。1945年8月、ソ連軍兵士は朝鮮の愛国者たちと肩を並べて戦い、関東軍を打ち破り、朝鮮半島を植民地支配から解放し、朝鮮民族が自主的に発展する道を開いた。1946年、赤軍による朝鮮解放を記念して平壌の中心部に建てられた牡丹峰の丘の記念碑は、両国民の兄弟愛の象徴である。

ロシア軍は北朝鮮の攻撃を用いウクライナ軍を攻撃しており、ウクライナからすると立派な交戦国です。しかし、その交戦国と日本政府が先月モンゴルにて拉致問題交渉を行っていたことが判明したことは、拉致問題と西側との連帯の間で揺れ動く日本の苦悩を浮き彫りにします。

北朝鮮が対ロ軍事支援を強化で急速する中で、日本が拉致問題交渉を本格化させることは、ウクライナを見捨て、西側諸国との関係悪化につながる懸念があります。

一方で、核ミサイル技術を発展させ、ロシアを間接的に支援している北朝鮮に対して強硬姿勢で望むことで拉致被害者が帰還する保証は全くありません。

事実、北朝鮮への圧力路線が失敗したことを認識した日本政府は交渉態度を180度転換させています。

北朝鮮とロシアの関係発展により日本外交はジレンマに陥っています。