日本一早い東京都知事選結果の小池・石丸・蓮舫解説

20時になって投票箱が閉められると同時に、NHKは小池百合子知事の当確を出した。出口調査42%の得票が見込まれるので、当然である。二位争いは石丸伸二氏が24%で優位と出ているようで、蓮舫氏(謝蓮舫→謝蓮舫or齋藤蓮舫→謝蓮舫or村田蓮舫→村田蓮舫→齋藤蓮舫)は、22%に留まっているようだ。

ただ、石丸候補はこれまでの前例が当てはまらないので、出口調査の結果の読み取り方に経験値からの修正の信頼性が劣るので、こちらは二位確定まではいえないようだ。

石丸氏は同姓の石丸幸人氏に間違って流れているようで、これが二位争いに蓮舫氏がのぞみをかける綱かもしれない。

小池知事は、一言でいって特に素晴らしいわけでないが、特段の失政があるわけでないので、最初から磐石だった。

カイロ大学の卒業については、蒸し返しではあるが、エジプト大使館に依頼を出したことについての当事者の暴露が目新しく、さらに突っ込んだ情報が続くと危ないかもという場面はあった。

しかし、対立候補が二重国籍の蓮舫では、学籍詐称など追究しても、最大限、お互い様にしかならず、蓮舫がこの問題で突っ込みを入れることもできなまま終わった。候補者選定ミスである。

それに、文春砲がカイロ大学問題で関係者の証言をスクープして、出足は良かったものの、仲違いしている実兄の証言とか、カイロ大学元学部副部長の証言など小池知事に有利な証言が出てきて、有効に反論できなかった。

また、飯山あかりさんがさんざんにこき下ろしたアラブ語の能力も、アラブ語の能力はかなり高く、むしろ飯山さんより上手なのでないかという専門家の評価も相次ぎ、空振りになった。単語とか文法とかどこまで強いかは別として、しゃべるのが得意だから、会話能力としては相当高いと外務省のアラビストも言っているのである。

神宮外苑の問題はもともとトンチンカンだ。外苑ははっきりいって荒れて寂れている。前時代的な設計なので、再開発をすることが必要だった。ただ、神宮球場や秩父宮ラグビー場を追い出すわけにはいかないので、その制約の中では、最善かどうかはともかくあんなものだろう。いずれにしても、現状よりは遙かに経済的に合理性のみならず、快適な空間になるだろう。樹木の伐採など、しょっちゅう更新を繰り返してきたものだから残す意味など全くない。

私の意見はといえば、東京の都心は無駄に緑が多すぎ、郊外が少なすぎる。昔からいっているのは、神宮の森も外苑もかなり縮小してマンションにして、それを財源と種地にして、杉並区など防災上、危険な地域の再開発を進める種地にしたらどうかというものだ。

小池知事の問題点は、コロナの時でもそうだが、東京都の豊かな財政力にまかせて、ほかの道府県がまねできないようなバラマキ政策をとりがちなことだ。

これを東京都から財源を奪って取り上げないと行けないのだが、今回、自民党が小池氏を実質上、推さざるを得なかった経緯からして難しくなった。小池氏の勝利の悪影響の最たるものはこれだ。一方、公明党は小池氏をしっかり支えて成功し、来年の都議選にも明るい展望を得た。

前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏は、本来は維新が裏で支援する候補に最適な人物だった。報道に拠れば、「石丸さんに“改革志向が共通する”と推薦を打診して断られた。それを根に持ち、“石丸支援だけは絶対に許さない”と手の平を返しただけ。単なる逆ギレですよ」「あっさり袖にされた維新は、小池百合子陣営にも支援の意向を伝えたが、「維新の支援にはメリットがないので無視した(都民ファーストの会幹部)」などと伝えられているが、支援組織をもたないで風に頼っているだけの東京の維新は、彼らが誰かを支持してもあまり意味がない。

維新になら投票するが、維新から誰々に投票しろと言われる義理はないということになる。それが、公明などとは違うところだ。国民や立憲もよく似たもの。連合の支持は有用だが、立憲や国民が支持してくれても、連合がついてくると限らないからだ。そこを指導者たちがよく理解すべきだ。

最後の段階になって維新は反石丸の姿勢を崩さず、かえって締め付けまでしたが、出口調査では維新の票は石丸に流れている。石丸に袖にされてもすがりついておくべきだった。京都市長選挙で村山祥栄を冷たく切り捨てたのと同じタイプの失敗だ。

蓮舫氏の失敗は結局のところ、2016年に私がアゴラと協力して二重国籍を摘発したときも、その後も、きっちり始末しなかったことだ。

私はいつか蓮舫が都知事に出馬するときにそなえて、いろいろ手を打ってきた。ひとつは二重国籍そのものは悪いものでないという間違った説を、ことあるごとに論破してきた。なにしろ米国国務省すら「推奨できない」といっているのである。

ともかく「二人分の権利と一人分の義務」という人間を認めることなどリベラルな正義からこそ否定されるべきなのだ。

また、蓮舫候補の出馬が報じられたらすぐに、拡散の即効性が高いメディアに執筆して、出鼻を挫くこともうまくいった。

今回の都知事選挙で大事なことは、国籍について選挙広報に虚偽を書いても、「時効だ」「父親が手続きしたので知らなかった」「もう解消したから無罪放免だ」と言い張った、源氏名もどきで政治をする候補を否定できたことは国家的勝利である。

共産党が前に出たことは愚策だが、問題は出たことだけでなく、いかにも古い左翼の物言いで小池・自民攻撃をしたことだ。

そもそも、小池氏とか高市早苗氏もそうだが、清和会の森喜朗に代表される古い体質に嫌気がさして飛び出した人だ。それに清和会を材料に攻撃をかけても白々しい。

それをいうなら、蓮舫の実家は、清和会や河野洋平などとバナナの輸入枠を利権化して、公明党に追究されたのである。蓮舫は清和会利権のなかで豊かになって育った人だ。

そんな調子だから無党派層の1割台しか取れなかったのだから世話ないし、立憲と共産の票は早くに固めきったので、伸びしろもなかった。

私は最終的に、「小池さんに投票するか、石丸さんに投票するかどちらが有効かそれぞれの判断ですべきだと思います。それが政治的正義と愛国心の発露です。それ以外の選択は逃避です」と他の泡沫候補に投票しないように呼びかけてきたのが、功を奏して満足だ。

そして、立憲民主党の中では、野田佳彦元首相から蓮舫氏の勝利の勢いで愛弟子の泉健太代表を追い落とそうとしていたが当てはずになりそうで、良かった。