政治家の賞味期限

栄枯盛衰とはよく言ったものでどんなものにもよい時悪い時があるという一種のサイクル論ですが、当然ながら人の人生にも栄枯盛衰があるわけで、人生ずっと上り坂で死ぬ時がピークだったという話はほとんど聞きません。もちろん加齢がそうさせるのもありますが、その人の活躍ぶりに対して第三者による将来への期待感がその人を持ち上げるということはありそうです。

石丸氏 安芸高田市HPより

石丸伸二氏。メディアでの注目度は選挙後のほうが高まっているぐらいですが、私はその手の報道を全く読まないので詳しくは知りませんが、賛否両論いろいろあるのだなということはヘッドラインだけ見て感じています。石丸旋風を起こしたけれど、後味が悪かったようです。もともと持っている彼の本質が悪い形で露呈したことで将来への期待感がぐっと萎んでしまったのでしょう。それ以上でもそれ以下でもありません。

バイデン大統領を取り巻く辞任要請話も次第に高まっています。報道を読み取る限り私はずばり、バイデン氏は裸の王様に見えてくるのです。選挙形成は極めて悪く、民主党を取り巻く人たちも分裂し、挙句の果てにハリウッドという寄付金を含めた影響力ある人々までバイデン氏の肩たたきを始めています。しかし、氏を取り巻くのは家族や強硬な支援者であり、本人が窓の外の嵐がどれだけ吹き荒れているかわからないのみならず窓を開けさせず、カーテンを閉めきり「我々は盤石ですよ」とバイデン氏の耳元で囁くのです。

バイデン氏は有能な政治家ではありますが、アメリカをこれから更に4年間引っ張るにはあまりにも体力がないのに頑なにポジションにしがみつけば「哀れなおじいさん」にしか映らないのです。その空気を醸成しているのが取り巻きですから彼らの責任は大きいでしょう。

最近、野田佳彦立憲民主党特別顧問がやっぱり気になります。私は先週のブログで野田氏が立憲の党首選にまさか出ないだろう、と述べたのですが、蓮舫氏が無残な敗北をしたこともあり、「ありうるかも」と思い始めました。立憲に足りないのは何かといえばカリスマ性と指導力だと思うのです。その点、私は野田氏と枝野氏がテイストの強さでは双璧であり、残りは批判するのに長けた方が主体だと思います。泉代表には溢れ出る人的魅力が足りません。野田氏が立憲のトップになったら立憲は面白くなるでしょうね。議席はけっこう取れると思います。出直し型は安倍晋三氏の成功例がありました。67歳の野田氏はもう一花咲かせられそうです。

岸田文雄首相。彼の評価は自民党内部と国民レベルと実績と3つの部分から見る必要あります。自民党内部は党利党略として自民党が今後も地位を維持できるかという見地から総裁を見ています。つまりいつかは大臣を夢見る「職業としての」議員にとって我が党の株価は常に上昇しなくてはいけない、ゆえに株価の刺激のためには顔を変えたほうがいいと。

国民レベルは当初は悪くなかったのです。典型的なサラリーマンタイプ、ごり押しもせず、聞くチカラを売りにしていました。360度全方向をまんべんなくこなす可もなく不可もなくという優等生型で通信簿ならば全部4程度。5もないけれど1や2もないのです。安倍さんは1から5までいろいろあったのでタイプがまるで違うとも言えます。が、甘くも辛くもしょっぱくもない岸田テイストが飽きられたというのが私の感想。

では実績はどうか、個人的には相当成果を出したと思います。一番はコロナ明けの日本経済です。未だに不況だ、景気が悪いという声は一部のメディアから感覚論として発せられていますが、日銀短観はずっと改善で今の日本経済を客観的に「悪い」とする理由はなさそうです。株価はうなぎのぼり、街は外国人の下支えもあり、活気にあふれています。総裁選びの最大のポイントは景気なのです。経済がそれなりに廻っている事実はガン無視で党利党略だけに焦点を当てた観測記事だらけではメディアも政治屋のレベルも低すぎると思います。個人的には岸田押しですが、自民党内と国民のサポートがなさすぎて、華はなさそうですね。

政治家の賞味期限もだんだん短くなる傾向が強まると思います。それはリーダーに対する期待度が勝手に上がり、できないと勝手に評価を下げるからです。第三者が作り出す栄枯盛衰物語とでも言いましょうか?本人の実際の行動とは別次元です。

政治は長期安定のほうが良いのが確かです。日本の政治家でそれを実行している一人が小池百合子氏で今となっては円熟味に帝王の香りまでしてきてこのままじゃ「4期目もあり」と思わせる貫禄ぶり見せています。

賞味期限は長い方がいい、だけど保存料を使わないで真の実力勝負をするにはなかなかタフな時代になったと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月12日の記事より転載させていただきました。