みなさんは「カルスト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。石灰岩などの水に溶けやすい岩石で構成された大地が雨水や地下水などによって浸食されてできた地形をいいます。
これが地下にできたものが鍾乳洞であり(鍾乳洞の成り立ちにはほかの過程も存在します)、地上にできたものがカルスト地形です。日本では山口県の秋吉台が有名ですが、実は四国にもカルスト地形、いわゆる「四国カルスト」が存在します。
その場所があるのは四国の中央に東西に聳える四国山地。その西部、愛媛県と高知県の県境部分は特にカルスト地形がよく見える場所です。
わたしは今天狗高原と呼ばれる場所の駐車場から写真を撮っていますが、ここに車を止める途中、ナビが「愛媛県に入りました」「高知県に入りました」を連呼していました。目に見えない境界線がここを走っています。
四国カルストのビジターセンター「カルストテラス」
天狗高原には四国カルストの成り立ちや、カルストとは何かについてやさしく解説してくれる施設「カルストテラス」があります。
四国カルストの石灰岩はかつて海底火山の上に生息していたサンゴ礁の死骸です。海洋プレートが南海トラフに沈み込む際に石灰岩と化したサンゴの死骸が海底に堆積、のちに土地が隆起して標高1400mの場所まで押し上げられ表面に現れました。
施設内ではカフェもあって、オープンテラスで四国山地の絶景を眺めながら寛ぐこともできます。
天狗高原の遊歩道を歩いてカルストを間近に眺める
天狗高原はハイキングコースになっていて、カルスト地形を間近に見ることができる遊歩道が整備されています。
この日も30℃を超える暑い日だったので無理をしない程度に遊歩道を歩きます。道が空に向かっているかのようで爽快です。
目の前にカルスト。長い年月をかけて雨水などによって浸食された結果、柔らかい部分は溶けて土に還り、固い部分が岩石として残りました。
一山超えるとまた一面のカルスト地形。左手のやや尖った部分は展望台なのですがあそこまでいくと体力を消耗しそうなので適度なところで折り返します。
四国カルストは標高1400mの四国山地に広がるのでハイカンゾウなどの高原植物がみられます。
四国カルストを爽快にドライブしよう!
四国カルストは天狗高原から西に向かってドライブコースがあります。わたしもさっそくカルストを左右に見ながら車を走らせることにします。道路があまり広くなく、車一台しか通れませんので離合に注意しましょう。
放牧されたヒツジのようにカルストが広がる台地。その間を空に向かうように車を走らせます。とても爽快です。その景色はとても美しく何度も途中で停車してはカメラに景色を収めていきます。
姫鶴平でモーニングコーヒーを。
車で7分ほどで姫鶴平(めづるだいら)に到着。乳牛が放牧されていて牧歌的な風景が広がります。
歩いて5分くらいのところに風力発電機があります。この日は点検中で操業していません。というか、こんな高いところで点検…!きっとあのくらいの高さだと風も強く吹いているでしょう。わたしにはできません。尊敬します。
ちなみにこの風力発電機の所在地は高知県梼原町。先ほどの姫鶴平の看板は愛媛県久万高原町。姫鶴平の間にも県境が存在します。
どうもgoogle mapsを見ると、カルスト珈琲というカフェのあたりに県境があるようです。それでは県境珈琲を楽しみましょう。
カルスト珈琲はフードトラックでした。スタンドでコーヒーを買ってオープンエアでコーヒーを楽しむことができるカフェです。開店直後からお客さんが集まる人気店です。
ラベルのデザインも可愛いカルスト珈琲。ハンドドリップされたこだわりコーヒーをおいしくいただきました。高原産の牛乳を使ったカフェオレもありますよ!
四国の真ん中を貫く四国山地。石灰岩が作る独特の地形を眺めながら走る四国カルストドライブは風も心地よくとても爽快でした。津野町の国道197号線から天狗高原に抜ける県道経由がおすすめのルート。帰りは梼原町の地芳峠を下って帰りましたがここは非常に道が細いですのでご注意ください。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年7月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。