フランス革命記念日・聖火リレー・フランス政治の混乱

昨日は、7月14日。フランス革命記念日である。日本の保守派には、フランス革命が諸悪の根源とかいってロシア革命といっしょくたにする輩がいるが、フランスでは極右といえども無条件にお祝いする。

フランス革命記念日のようす フランス大統領官邸インスタグラムより

民主主義とは、これを原点とするものであることは、人類の普遍的合意として広く認められてきた。200年祭りではサッチャー首相らG7の首脳たちがこれに参列し、2017年にはトランプ大統領が主賓、2018年には安倍首相が主賓として招かれた。中国地方水害で取りやめざるをえなくなったが、自衛隊が日章旗と共に軍事パレードの先頭を飾ったことは、第二次世界大戦における対立を精算し第一次世界大戦における連合国の側にもどり、確固たる民主主義の擁護者になる決意の表明だった。

フランス革命におかしなレッテルを貼りたい人は民主主義は嫌いだといえばいいだけで、俺の民主主義の定義は世界の他の人とは違うなどとややこしいこと言わないで欲しい。どうも、日本には極端に世界の常識と違う価値観とか反科学思考を持ち出して反グローバリズムとか粋がる人が多いのは危険なことだ。

今年の軍事パレードは、オリンピックの準備と一体化して、シャンゼリゼでなくフォッシュ通りで行われ、コンコルド広場でなくポルト・ドーフィンのロータリーに会場が設けられた。

今年のテーマは「オリンピズムと軍隊」で、オリンピックの聖火のトーチが騎馬兵によってもたらされた。また、ノルマンディー上陸作戦80周年、パリ解放80年のお祝いでもあった。動画のリンクは下記の通りだが、開始から2時間あたりからご覧になるといいい。

もっとも7月7日の総選挙で勝っていたら、マクロン大統領も二期目の成功を祝うお祝いになっていたのだが、それどころでない。

フランス総選挙では、左派連合のNFP(新人民戦線)が180議席で首位、中道のマクロン大統領派の ENS(アンサンブル)が158議席で第2位、マリーヌ・ルペンが実質的な指導者である極右のRN(国民連合)の勝利が予想されていたが143議席で第3位に留まり、旧ドゴール派の共和党(LR)中心の右派が67議席で四位だった。

フランス革命記念日を祝うマリーヌ・ル・ペン氏 同氏インスタグラムより

極右の勝利は避けられたが、経済政策的には極右よりはるかに無茶苦茶な左派連合が第一党ではお先真っ暗。もっとも、左派連合も過半数は取れないので、首相の交代はパリ五輪・パラリンピックが終わる9月になりそうだ。

フランス憲法では、総選挙の結果にかかわらず、大統領は自由に首相を任命できる。ただし、議会は賛成が反対よりおおいというだけだが、内閣を不信任できるという制度だ。

大統領は国民に団結を呼びかけ、極右だけでなく、左派連合のなかでも極左集団といわれる最大会派の「不服従のフランス」を排除するように促している。

選挙の勝利を喜ぶ不服従のフランス・メランション氏 同氏インスタグラムより

左翼連合は、EUやNATOからの離脱は入れなかったが、①2023年の年金改革法を撤廃して64歳からになった年金支給を60歳に戻す、②最低賃金の14%引き上げ③価格凍結をうたっているから実現不可能だ。

むしろ極右のRNが勝利したらバルデラ党首が首相になるはずだったが、2027年の大統領選挙でマリーヌ・ルペンに勝利させるために、無茶はしなかっただろうといわれる。

どうして、極右が台頭したかといえば、従来、大統領を出してきた、共和党(ドゴール派)、社会党、それに中道派がいずれもEU統合推進に立ったので、右と左、とくに右に大きな空白ができて、そこを、もとは本当に極右だったが、いまはそれほどでもないRNがとったからだ。

本来なら、RNを切り崩して穏健派を政権内に誘ったり、政策を一部採り入れたらいいのだが、それを毛嫌いしてしないから極右が少しずつ、穏健右派や従来、左派に投票していた不満層まで取り組んでいるのである。

日本の自民党や英国の保守党が、明らかに極右としかいいようがない勢力までとりこんでいるのと大違いだ。

そして、もうひとつは、いうまでもなく、ウクライナ戦争なんぞに手を出した間違いだ。フランスは伝統的にロシアとうまくやってきた。それが英米といっしょに地政学的に無理がある戦争に手を出した。フランスとしては、ナポレオンのロシア遠征以来の大きな失策だと思う。

ゼレンスキー大統領と会談するマクロン大統領 2024年7月 マクロン大統領インスタグラムより

一時的にウクライナが勝ったとしても、ロシアは永遠にリベンジのためになら何千万人の犠牲も躊躇しないで戦いを続けると思う。