防衛省が米軍に約30億円分のパトリオットミサイルを売却することを発表しました。
防衛省、米軍にパトリオットミサイル売却 30億円でhttps://t.co/mHUbF3Y1VP
— 日本経済新聞 政治・外交 Nikkei Politics (@nikkeiseijibu) July 28, 2024
米国はウクライナ支援の一環でパトリオットミサイルを大量輸出しているため、自国分のミサイルが足りなくなっています。その不足分を補うために、日本が米軍の備蓄を補充することになりました。
防衛省、米軍にパトリオットミサイル売却 30億円で:
航空自衛隊が保有する防空用の「パトリオット」を米軍に売却する契約を結んだと発表した。契約額は30億円ほど。米軍はロシアの侵略を受けたウクライナへの軍事支援でパトリオットの在庫が不足しており、日本が補う。https://t.co/AuAVYq07Ov— Ftc Jobs フジドリームくまモンヒューマンリソース(FDK) (@FtcJobs) July 29, 2024
今回の発表されたミサイル売却は、防衛装備品の輸出に関するルールが改定されてから初の殺傷兵器の輸出となります。歴史的な出来事です。
防衛省は完成品となった殺傷兵器の移転を継続する意向を示しています。
政府が迎撃ミサイルPAC3の米国への売却契約を締結。「装備品移転」というが、要するに武器輸出であり、殺傷兵器で初めて。ウクライナ支援で不足する米国の在庫を補うもので迂回輸出というほかない。
「今後もとりくんでいく」と防衛大臣。武器輸出大国化の暴走は許されない。https://t.co/tcj3YFhzaF— 山添 拓 (@pioneertaku84) July 29, 2024
1976年の宮沢外相は、武器輸出を汚れ仕事だと表現していました。その時期と比べると隔世の感があります。
日本政府は1967年に「武器輸出三原則」を掲げて、事実上の輸出禁止政策を採ってきた。当時の宮沢喜一外相は国会答弁で「わが国は武器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれていない。もう少し高い理想を持った国であり続けるべきだ」と述べている。
日本は落ちぶれたということだhttps://t.co/yQFg28vG4m
— おしえておしえて。。。。 (@oshiete_x2024) March 31, 2024
しかし、日本の安全保障を考えると、今回の防衛省の発表に不安を覚えざるを得ません。
米国がウクライナ支援にかかりっきりになっているせいで、台湾へ供与する兵器の生産が追い付いていません。台湾に兵器が渡らなければ、軍事的威圧を強める中国に対抗することが難しくなりません。この事態に「台湾有事が日本有事」だと考える人たちは懸念を覚える必要があります。
As of the end of April 2024, the US arms backlog to Taiwan amounted to approximately $19.7 billion. This significant delay undermines Taiwan's defense capabilities and highlights the inefficiencies in the current arms supply process. https://t.co/AiEw8ohggv #CatoFP pic.twitter.com/9BC325B5Iw
— Cato Institute (@CatoInstitute) May 25, 2024
2024年4月末現在、米国の台湾向け武器供給の遅れは約197億ドルに上る。この大幅な遅れは台湾の防衛力を弱体化させ、現在の武器供給プロセスの非効率性を浮き彫りにする。
また、日本はたださえ自国の兵器の備蓄が足りないのにも関わらず、米国に兵器を売却する余裕はあるのでしょうか?大量の中距離ミサイルを保有している中国とのミサイルギャップが拡大していく一方です。
Didn’t PM Kishida say Asia could be tomorrow’s Ukraine? So why would Japan disarm itself of absolutely essential air defenses in the face of China with the world’s largest missile inventory?
This is a deeply misguided decision by Tokyo (and Washington). https://t.co/pqITYuOzd7
— Elbridge Colby (@ElbridgeColby) December 22, 2023
岸田首相はアジアが明日のウクライナになる可能性があると言いませんでしたか? ではなぜ日本は世界最大のミサイル保有量を持つ中国を前に、絶対に必要な防空体制を放棄するのでしょうか? これは東京(そしてワシントン)による極めて誤った決定である。
日本がウクライナ支援を継続することによって、欧州諸国が中国への警戒感を高めることにつながれば良いのですが、その気配が見られません。
ウクライナ戦争勃発から2年以上が経過した今、ウクライナ支援が具体的にどのようにして「日本のため」になっているのかを検証する時期に入っているのではないでしょうか?
支援継続は「日本のため」 ロシア侵攻で団結、強い国に―松田ウクライナ大使:時事ドットコム https://t.co/QSQFF6jxSR via @jijicom
— セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使 (@KorsunskySergiy) July 30, 2024
ウクライナを支援し、ロシアの侵攻を止めることが、台湾を侵攻するという中国の意欲を削ぐことにつながるという議論もあります。しかし、西側諸国がウクライナ支援にコミットしている間、中国は台湾への軍事的、政治的圧力を一段と強めているようにも見えます。
中国海警、台湾漁船を拿捕 金門島沖で 台湾への圧力強化の一環か https://t.co/jpDqAQyntJ
台湾メディアによると、拿捕された台湾漁船は澎湖諸島に船籍があり、台湾人の船長とインドネシア籍の船員5人の計6人がイカ漁を行っていた。
— 産経ニュース (@Sankei_news) July 3, 2024
このところ、台湾の東部で行う大規模演習を中国は事前に公表しなくなってきた。演習か軍事侵攻かますますわかりにくくしている。
— Tetsuo Kotani/小谷哲男 (@tetsuo_kotani) November 1, 2023
アメリカではヴァンス副大統領候補のように、ウクライナ支援の在り方に根本的な疑問を突き付けている政治家がいますが、日本では皆無です。
【新着記事】アゴラ編集部:ヴァンス上院議員が共和党副大統領候補に:日本製鉄とウクライナは戦々恐々?https://t.co/FoF21OKdOi pic.twitter.com/Pw7pG5c1zb
— アゴラ (@agora_japan) July 16, 2024
戦場で膠着状態が続き、戦力を著しく消耗しているウクライナを助けるために、そして日本の安全保障のためにも、現状のウクライナ支援の在り方を再検討するべきではないでしょうか?