いつか来る南海トラフ地震への備え

黒坂岳央です。

最近、にわかに南海トラフ地震の脅威が話題にあがるようになった。言うまでもなく、日向灘地震と神奈川県西部地震がその発端である。

地震の脅威が変わったわけではないのに、急にこの日を起点に水の買い占めが起きているが、おそらくある程度日数が経過するとまた何もなかったかのように地震を忘れて日常に戻る。つまり、「意識的な地震への備え」は多くの人にとってあまり役に立たない。むしろ「無意識的な備え」になっている必要がある。こちらは意識していなくても、結果として地震の難を逃れることができるからだ。

年始に執筆した次の大地震で生き延びる「3つの備え」に加えて、個人的に備えている内容を取り上げたい。

recep-bg/iStock

大型家具への地震対策

地震はいつやってくるか分からない。真夜中に寝静まっているタイミングかもしれないし、料理で火を使っているタイミングかもしれない。いくら気をつけている人でも、寝込みを襲われたらひとたまりもないだろう。

いずれにせよ在宅中に起きたことを想定するなら、大型家具には気をつけるべきだ。自分がやっていることはそもそも重量の大きな家具は使用をしない。また、エアコンの位置を意識する。ベッドの位置を変えて万が一、落下しても頭に直撃を受けないようにしたいところだ。

また、子供がいる家庭は自分は助かっても、子供がタンスの下敷きになったりしないよう、長くいる場所での大型家具の設置には気を配りたいところである。

海岸を避ける

南海トラフ地震は国や機関が何度も入念なシミュレーションを行い、想定被害を公開している。そしてこの地震には過去におきた規則性が見られるので、発生したときの想定被害はかなり高い精度で分かる。

実際、東日本大震災の時は「ここより下に家を建てるな」と刻まれた石碑がある。この教えを守った地域において建物の津波被害がなかったという話も有名だ。特に危険度の高いエリアを避けることで、震災はさておき津波の被害はある程度軽減できるのではないだろうか。事情があって土地を離れることが難しい人もいるわけだが、少なくともこれから移住を考えたり新しく家を建てる人は場所を意識してもいいだろう。

海岸といっても海の近くがすべてダメというわけではない。詳細の情報は気象庁のサイトに詳しく掲載されている。

データのクラウド保存

最後にデータのクラウド保存である。思い出の写真や動画、その他仕事で使う大事なデータなどはできるだけ物理ストレージ以外にも保存をしておこう。

おすすめはクラウド保存である。元々、ハッキングリスクを防止する意味から、普段遣いの文書やスプレッドシートはできるだけクラウドサービスがいい。パスワードや二段階認証の管理がよほど甘くない限り、そうそう簡単に被害を受けることはないし物理ストレージ保存より攻撃を受ける可能性が低くなる。仮に地震や津波でPCが物理的に破壊されてもネット上のデータはほぼ確実に残る。Google Driveを使えば手作業で保存作業の手間なく、クラウドにバックアップができるので便利だ。

地震は誰にも正確な予測ができない。来るか来ないか?ではなく、いつ来るか?という前提で来ても生き延びることができるように普段から備えをしておくことが肝要である。不安になったタイミングだけ頑張っても意味はない。無意識に備えができている状態を目指して工夫して生活をしたいものである。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。