懺悔なしでの岸田不出馬は「責任の放棄」

岸田首相 首相官邸HPより

岸田の突然の総裁選不出馬会見は、議員不在の盆休みの間隙を突いた。それは6月の拙稿「辞める前に岸田総理が『しなければならない』3つの懺悔」で書いた3つの愚策と同工異曲の思い付きの独断で、会見内容とは裏腹にこの人物が何も判っていないことを、未練たらたらの表情と共に物語っている。

辞める前に岸田総理が「しなければならない」3つの懺悔
岸田氏は「・・しなければなりません」というフレーズを多用する。「・・を実施したい」とか「・・を進めてゆく」とかと違って、筆者には引っ掛かる言葉づかいだ。なぜなら、彼が「しなければならない」ことは安倍・菅政権のやり残しだけで十分であり、岸田発...

単なる岸田の総裁選不出馬で自民党が変われる可能性などない。自民党若手のホープの一人小林鷹之議員は、「やり過ぎてしまうと現場が回らなくなる」と岸田の「安倍派役職外しに異論」を述べたが、岸田の「3つの愚策」による自民党の打撃はそれに止まらず、党が潰れてしまう懸念さえある。

事の本質は「自民党が変わること」よりも、「自民党のどこが悪かったのか」、そして「それをどの様に変えるのか」の定義が、議員も支持者も同床異夢であるところにある。筆者は拙稿で指摘した通り、これは自民党問題ではなく岸田問題だと思っているが、LGBT問題以外では保守層にも様々な意見がある様だ。

筆者の考えを整理すれば、岸田の旧統一教会対応と不記載問題対応の間違いが専ら「法」の観点からのことである一方、異論の観点は「情緒」に重きがある。つまり人それぞれの「情緒」には「法」の様な基準がない。そこで自民党は岸田が惹起したこれらの問題への対応に苦慮し、疲弊しているのである。

どうせ辞めるなら、「懺悔」してからにして欲しかった。後継候補の一人として林芳正官房長官が急浮上するように思う。