パリ国立オペラ座バレエ「ジゼル」。
クララ・ムーセーニュのミルタ最終日、よかったー、なんとか観に来られて。
登場シーン、圧巻。煙の上をすぅーっと漂うような最初の1分間にうっとり。
ここ、足捌きが素晴らしくても、上半身が動いちゃうと浮遊感というか幻想感なくなる。クララのブレない上半身ときめ細やかな足捌きで、単純な登場シーンで一気に幻想の世界に引き摺り込まれる。その後のヴァリアシオンの跳躍や腕のきれいさ(オペラ座学校生粋ならではのエレガンス)ももちろんブラヴァー!なのだけど、とにかくこのなんてことない登場シーンに、感嘆のため息。
タイトルロールのブルーエン。クールビューティーすぎる。ミルタの方が似合ったでしょうに。技術はまあまあ。アルブレヒトへの愛情はない、2幕は精霊感が足りず生身の人間っぽい。演技はまだまだ、仕方ない若いものね。ドロテだって、初ジゼルの演技はダメだった。2年前、公演中に代役に入った時はどのシーンからでどんなだったのかしら。
マルクのアルブレヒト、上品な王子様感は出てる。多少演技過多なのが、あくまでクールなジゼルの横では、ちょっとナイーヴに見えるところも。技術はもともと期待してない、アントルシャシスをわりと最後の方まで(少なくともポールより)頑張っただけで、よしとしなくちゃいけないのかなぁ。
イラリオンのフロリモン、細かな演技を丁寧にこなしていているのがマル。パ・ド・ドゥのお二人も、若くてまだ下手なりにチャーミングで、初日の二人よりずっと好感持てる。
初日は、ミリアムをただただ見つめていたけど(初日の様子、最後にリンクあります)、今夜はコールにも目を向ける。「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」でとてもかわいらしい笛吹きをやったポールがいる。「ジゼル」でも、ニッコニコの輝く笑顔で、いいアリュール持ってる。今後が楽しみ。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年5月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。