世の中で最も過小評価されている職業

黒坂岳央です。

一般的に大手企業のサラリーマンや公務員が人気だ。よく聞く話が、親は子供がそうした職を得れば安心し、婚活でも大手企業勤務の男性が人気という話がある。自分も昔、ひたすら大手に憧れて就活をしていた時期があった。

世の中で過小評価されているが、実際はとてつもなく恵まれている職業がある。それは中小企業オーナーである(厳密には「職業」ではないが水平比較する便宜上使用する)。世の中の多くはサラリーマンであり、その実態を知る人は圧倒的に少数である。「経済的に不安定そう」「24時間仕事漬けでしんどそう」というネガティブなイメージも少なくない。だが正直、そこそこうまくいけばこれほどのチート職は他に存在しないといっていい。

ポジショントークのつもりはないのだが、収入や働き方の自由さなどを考えれば、この職業こそが真の成功者といえるほどのメリットが有るのだ。

Yuto photographer/iStock

1. 使えるお金が圧倒的に多い

中小企業オーナーの最大の魅力の一つは、何といっても「使えるお金の多さ」にある。よく言われることの1つに、サラリーマンや公務員が頑張っても収入には確実に限界があるという話がある。残業をしても優良企業に務めても、年収はせいぜい2000万円くらいで頭打ちすることが多い。

あらかじめお断りしておくと、自分は「職業に貴賎なし」という言葉の意味を深く理解しているし、自分もアルバイト、派遣、正社員、経営者と一通り経験して、収入の多寡で上下関係を意識するほど稚拙なメンタリティの持ち主ではないと思っている。感情論を排除した上で、あくまで事実ベースで話を進めていきたい。

さてその一方で、中小企業オーナーは、自らのビジネスが成功すればするほど、得られる収入が無限に拡大する。よく言われることに「確かに高収入かもしれないが、まったく収入が安定しないではないか。不況が来たら一気に厳しくなるぞ」という反論が想定されるが、実際には不況の厳しさについては世間でよく誤解されている。

正社員でも不況が来れば失業というリスクがあるし、社長といっても会社から役員報酬を得る立場であるため、不況が来て苦しくなるのは社長というより会社である。そして会社が厳しいなら社長も社員も一緒に厳しくなるので、「社長だけ苦しくなる」というわけではないのだ。

少々極論ではあるが、ビジネスが少しあたれば数年間で一生分の蓄財ができてしまうことも珍しくない。作業着を着て汗をかいて働く第一次産業の社長はパッと見で失礼ながら「全然お金を持ってなさそう」という印象を受ける人も少なくないだろう。だが、その実年収は3000万、4000万円という人もザラだ。

自分の知る近所のれんこん農家は、過去最高で年間で1億円近くの売上を記録したことがあるといっていた。確かにオーナー社長の売上は安定していないが、労働期間の40年間かけて少しずつ蓄財するというより、「売れる数年間の内に一生分稼いでおく」という感覚の人が多いのではないだろうか。

さらに、オーナー社長は会社の経費で多くの支出をカバーできる。そのため、実際に使えるお金が非常に多い。例えば、車の購入や接待費用、家賃、旅行やセミナー参加費用など、ビジネスに関連費なら経費として計上できるため、個人のサラリーマンでは考えられないような贅沢ができる。

サラリーマンは税引き後の手残りから必要なものを買うが、オーナー社長は先に必要なものを買ってから税金を引かれるので、両者の立場の違いで使えるお金は全く違う。

2. 自由すぎる働き方

中小企業オーナーのもう一つの大きな魅力は、その「働き方の自由さ」にある。大手企業のサラリーマンや公務員は、決められた勤務時間や出社義務、さらには業務内容に縛られることが多く、自分の時間を自由に使うことが難しいことが多い。また、昨今はアメリカ大手IT企業を中心にリモートワークが次々と解除されている。だが中小企業オーナーは自分自身が会社のトップなので働き方で圧倒的な自由を享受することができる。

オーナー社長は、自らの都合に合わせて働く時間を決めることができる。午後から働き始めたり、自宅で仕事をすることも可能だ。また、休暇や旅行など、プライベートの予定を優先することができる。必要に応じて、ビジネスの運営を他のスタッフに任せるのだ。プライベートの時間を大切にしながら、仕事をこなす理想的な生活スタイルを実現できる。誰にも咎められることはない。

その他、増税されてもいくらでも対策ができるなど、取り上げればきりがないほど他にも様々なメリットがあるが、わかりやすい2大メリットは以上である。

中小企業オーナーは、その立場にならないと正確に理解されないことがほとんどである。東京の超大手企業の重役より、泥がついた作業着を着た地方のオーナー社長の方が数倍も収入が多い。未だにこの実感が湧いてこないのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。