気候変動対策での具体的な「適応」を実践するための「流域思考」を学ぶ

7月20日(土)に小網代の森開園10周年を記念して、NPO法人 小網代野外活動調整会議主催によるイベントが開催されました。

7月20日(土)小網代の森開園 10周年記念シンポジウム 「世界の小網代へ」開催!! 主催:NPO法人 小網代野外活動調整会議 | 鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)

私は新コロンボ計画の豪州工学部学生を引率して九州大学に滞在した後、丁度ブリスベンに戻ったところだったので、遠隔でその記念イベントに参加させていただきました。

そして、今回の帰国の際、8月2日(金)朝、真夏の小網代の森を再訪し、なんと!岸由二先生を独占でガイドしていただき、小網代の森の下流域を散策してきました。ハマカンゾウはまだほとんど咲いていませんでしたが、この動画を公開する8月中旬には満開になっていることと思います。

気候変動で将来人類が被る被害を最小にして人類の発展を考える場合、(1)温暖化要因気体であるCO2やメタンなどの放出量を削減して、それらを出さないようにする「緩和」と、(2)気候変動起因の自然災害、例えば海面上昇や異常高温、旱魃や洪水から人類を守る「適応」、の二つのことにお金をかける必要があります。気候変動対策には(1)の「緩和」よりも(2)の「適応」が重要だという認識が広まっているようです。

「適応」の例として、科学者や技術者としては、スパコンの演算速度を上げてシミュレーション(例えば、台風の進路のより正確な予測)や、堤防や灌漑などの建設技術、食糧の生産技術などの向上に努めることは明らかです。しかし、一般の生活者は、どうすればいいのかがあまり提案されていません。

そこで登場するのが、「流域思考」なのです。実際に住んでいるその場所を「流域思考」で理解して、災害に対して「適応」していくことが、結局は自分自身の命を守る具体的な気候変動対策なのです。YAMAPという福岡に本社がある山関係の会社が流域地図を公開されています。みなさんは、一度ご自身の住んでいる家の流域を把握しておくことが大切だと思います。

YAMAP流域地図

地球とつながる、流域地図 | YAMAP 流域地図
私たちが暮らす場所を、水の流れを基礎とした"流域"で表現した地図です。山・川・街・海のつながりを、水の流れを通して捉えなおすことで、あたらしい世界の見方や発見がきっとあるはず。

(おまけ情報)

『「奇跡の自然」の守りかた: 三浦半島・小網代の谷から』の著者、慶應義塾大学名誉教授の岸由二先生と東京工業大学教授の柳瀬博一先生がツアーガイドとなっていただき、2023年11月3日の文化の日、晴れの特異日に、なんとも贅沢な小網代の森の探索をしてきました!その様子は、YouTube動画として公開しています。

【オンライン授業-51】岸由二名誉教授と柳瀬博一教授と行く「三浦半島・小網代の森」超絶贅沢ツアー!

最近岸先生は、流域思考に関するエッセー集も出版されており、出版社にも読者にも忖度することなく、歯に衣着せぬ内容で、お勧めです。

岸由二(著)「流域思考とは何か」

動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。