悠仁さまの進学論争:学習院固執の背景とその矛盾

ダイヤモンド・オンラインに、『悠仁さま「東大推薦入試」論争が的外れなワケ、「将来の天皇」が進学すべき大学は?』という記事を書いた。

詳しい内容は、リンクを見ていただきたいが、ここでは、あいかわらず繰り返される、学習院の一部の卒業生による、悠仁さまの進路についての、お節介と言われても仕方ないような動きに苦言を呈したい。

悠仁親王殿下
宮内庁HPより

悠仁さまが幼稚園以来、学習院を選ばれなかったことことを、学習院の一部の卒業生たちが腹を立て、せめて大学は学習院に進学すべきと主張してきた。

たとえば、OGの藤澤志穂子さんは、『学習院女子と皇室』(新潮新書)という本を書き、秋篠宮家にはノブレスオブリージュという意識が足りず、その表れが両殿下が学習院の同窓生としての活動をしないことだとか、悠仁さまを学習院に入れないことだといったことを書いた。

だが実際は、秋篠宮さまと秋篠宮妃紀子さまは、公務は好き嫌いなくやらねばという姿勢を徹底されており、ノブレスオブリージュの模範生である。学習院を母校として大事にすることこそがノーブレスオブリージュの発露だという藤澤氏がこの本における主張にはあきれ果てた。

その藤澤志穂子さんが、先日「『東大卒の天皇陛下』にこだわる必要があるのか…悠仁さまの『大学進学論争』に学習院OG抱く”強烈な違和感”」という記事を、なんと、2年先輩である紀子さまへの手紙というかたちで書いている。

そこでは、昨年の本のなかでは、さんざん学習院を選ばなかったことを糾弾していたのに、「悠仁さまが過去の皇族方の慣例を破り、学習院に進学されなかったのは、それほどおかしなことではありません」と手のひらを返し、さらに、学習院を避けたのは秋篠宮さまの意向であり、紀子先輩の気持ちではないと思うといわんばかりの差し出がましいことも書いている。

そして、東大は官僚などを養成する学校だから、天皇になる人には向かないという。だが、君主が日本最高峰の大学で将来の政治家や官僚と学ぶのは好ましいに決まっている。学部が違っても交流の機会はある。私立大学に比べてむかないというのは意味不明だ。イギリスの王族だって、ケンブリッジやコックスフォードで学んでいるではないか。

また、研究者と一緒に書いた論文など、どの程度の貢献があったか見破られるに決まっていると決め付けて悠仁さまを根拠なく誹謗している。

さらに、「入試には定員があり、1人が入れば誰かが落ちてしまう」から恵まれた環境にある皇族は入試で競争すべきでないというが、そんなものは東大に限った話ではあるまい。

そして、「海外の大学に進むという選択肢はある」とし、「ウィンザー城構内に生息するトンボ研究」とか「ホワイトハウス敷地内に生息するトンボ研究」でもしたらどうかという支離滅裂な締めになっている。

実は私も、海外の大学も視野に入れるというのは賛成である。国際性を身に付けるためには、天皇陛下や秋篠宮さまの世代のように大学卒業後に留学するのではなく、もっと早く出た方がいいと思う。

だから、例えば学力的にも無理がない早稲田か慶應あたりに進学して、交換留学生制度を利用して、4年間のうち1年は海外に行かれ、その後は仕事や遊びで随時、海外行きの機会を持たれたらよいのではないかと私は提案している。

もしくは、すぐに海外の大学に留学し、その後、帰国子女として国内で進学するのも、選択肢としては悪くないだろう。

ただ、国内の学習院以外の大学に、一般入試であれ、AO入試であれチャレンジするのは、国民を一人押しのけるからダメだとかいうのは、ためにする議論であって、もはや深刻な人権侵害だ。