九州北部海岸線をたどる旅③:佐賀県の北端岬めぐり編

九州北部の海岸線をたどるドライブ旅。今回はその第3回です。

念願の「呼子のイカ」を食したあとは車を北に向かわせました。

呼子は佐賀県の最北部に位置しているのですが、今回はさらにその北に浮かぶ島、加部(かべ)島と佐賀県の本土最北端である波戸岬を訪ねます。

① 北岸で牛の放牧がおこなわれるのどかな加部島

加部島は呼子町の北に浮かぶ人口400人ほどの島です。もとは壁島といったそうで、この島が風や波をよける役割を果たし呼子港がイカ漁や捕鯨で栄えることとなりました。加部島でも漁業は盛んにおこなわれています。

本土と加部島との間は呼子大橋という橋で繋がっています。橋を渡って最初にやってきたのは「風の見える丘公園」。島の南部の高台に位置しており、九州本土をはじめ日本海も一望できる展望台です。

さっき渡ってきた呼子大橋はコチラ。

手前は名護屋城の城下町として栄えた唐津市名護屋地区。

呼子大橋の西方には風力発電が多く見られます。風の見える丘はここから名づけられたのかもしれません。

長閑な田園風景の向こうに浮かぶ島。

島の北側はいくつかの有人島が点在しています。向こうに見えるのは小川島。呼子に居を構える中尾家がこの島にも拠点を置き捕鯨を行ってきました。今も呼子港から定期船が出ています。

また少し車を走らせて、加部島の北岸、杉ノ原展望台までやってきました。

車を自走させてくることができる佐賀県最北端の地です。

車を停めて展望台まで歩いて向かいます。夏草のにおいのする中遊歩道を歩きます。風が気持ちいいんですが、暑い。

向こうに見える小川島。

柵の向こうは牧草地帯。ここに限ったことではないですが岬の先端は樹木が少なく、このように低木や草だけが生えている場所が多い気がします。ここも一面牧草地がひろがり、牛が放牧されています。

牛はいましたが、この日はあいにく小屋(?)の中にいて放牧はされていませんでした。

牧草地の中に肥前立石埼灯台と呼ばれる灯台が建っていて昭和48年からここで海城高校の安全のために灯を照らし続けています。淡い青の海と白い灯台がマッチして夏!っていう感じがします。

さらに歩いていくと杉ノ原展望台に到着しました。ここに来るまで誰にも会うことはありませんでしたが、展望台には一人だけ先客がいました。日陰になり海風が通って気持ちいい場所なので思わず長居したくなる場所です。

ここから灯台までは歩いて行けるようです。牧草地の向こうは絶壁。陸地がいきなりここで終わり広い日本海に落ちていきます。

余談ですが、展望台の入り口のところにある「活魚料理かべしま」は開店前からすごい行列で車もあとからあとからやってきました。佐賀県北端の離島のさらに端なんですがこんなにも大盛況。みなさんどこで情報を仕入れているのでしょうか。

② レジャー施設の整う賑やかな波戸岬

加部島に別れを告げ、今度はその西側に位置する波戸岬にやってきました。

こちらは海水浴場なんかもあって多くの人で賑わっています。

車を停めて岬まで向かう途中に妙な形の施設があります。こちらは「玄海水中展望塔」。桟橋を渡って階段で下に降りていくと海中をそのまま見ることができる自然の水族館になっています。

今回私は立ち寄りませんでしたが、海の生き物に興味のある方は訪ねると楽しいと思います。

海中展望塔のあたりまでは人が多いのですが、そこから先はまばらになります。私は頑張って北端の灯台を目指します。なお、手前には恋人の聖地としてハートのモニュメントもあり写真を撮ろうと行列ができていたのですが私には関係ないのでスルーします。恋人の聖地って多すぎるんですよね。

向こうに見えるのは松島。50人ほどしかいない有人島ですが、近年1日1組だけ対応する予約制のイタリアレストランがオープンして人気を博しています。

Ristorante MATSUSHIMA | 【公式】ビストロマツシマ
佐賀県唐津市松島にある離島レストラン、島の食材を使用したイタリア料理。福岡県博多にも系列のお店があります。

島を紹介している間に灯台の麓にある小さな神社に到着しました。岬神社の鳥居は低く、背の低いわたしでギリギリくらいの高さでした。

その先にはさらに鳥居があってその先にはご神体である大きな岩があります。きっとかつて漁業で生計を立てていた人たちがここで海の安全を祈願していたのでしょう。

灯台はその上にあり、加部島の灯台とともに海上に灯りを届け続けています。ここは西に位置するため夕日がとても美しいそうです。遠いところの旅行では時間を合わせて見に行くことが難しいのですが、どれほど美しいものなのか一度ぜひ見てみたいですね。

波戸岬の南には豊臣秀吉が朝鮮出兵する際に築城した名護屋城跡があります。歴史ファンの方は秀吉が朝鮮に面した波戸岬に立ち何を思ったのか思いを馳せながら歩いて見るのも楽しいかもしれません。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年8月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。