皇室の歴史、現状、旧宮家、世界の王室という内容で、『系図でたどる日本の皇族』(宝島社)というムックをつくりました。
日本人では、皇室への敬愛は深く、国民は皇室を心の拠り所にしています。万世一系といわれるように、この国が建国されてから、ひとつのファミリーがずっと国民の幸福を祈り、暖かく見守っておられるという安心感が大事なのです。
日本人が将来とも国のありようが変わらないと思えることが、この国の統一と独立を安定したものにしています。
ただ、日本人は皇室について驚くほど知りません。なにしろ、一般マスコミは過度に持ち上げる報道しかしませんし、週刊誌やSNSの報道は時としてタブーを破るようなニュースを流したり、厳しい批判をしたりしますが、批判の対象は特定の皇室メンバーや行動に偏りがちで情緒的で公正さに欠け、国際的にみても特異です。
歴史についても、たとえば、皇室の人々が歴史ドラマに登場することはほとんどありません。NHKの大河ドラマでも、ミカドは後ろ姿だけだったり、御簾の後ろだったりすることがこれまでほとんどでした。
その意味で、今年の「光る君へ」は、花山天皇や一条天皇などが感情豊かな人物として登場し、それぞれの登場人物も近現代の皇室の人々を投影しているようなところすらあって興味深く見ています。一条天皇は陛下で定子皇后は雅子さまでしょう。
もちろん、そうした秘密のベールに包まれていることが値打ちを高めているという面もないわけではありませんが、事実に反した憶測の原因になっているし、今後は国際的に日本の皇室だけが報道や言論の自由の例外に留まるわけにはいきません。
ネット社会では、これまでひそひそ話で語られていただけで留まっていたことが世界に拡散されるのです。
そこで、本誌では、皇室についての真実を国際的な視野を持ちつつ、正確に知ってもらえるように、素晴らしさだけでなく、少し都合の悪いことも外国のロイヤル・ファミリーほどではないですが、是々非々で解説しています。
この本の特色のひとつは旧宮家について詳しく書いていることです。最近、旧宮家を皇籍離脱させたのがGHQなのか彼らが自分たちで希望したとかいう議論ありますが、それはあまり意味がない議論だと思います。
GHQの意向次第で皇室の存続すら危ないというなかで、華族も廃止、皇族も削減とか大幅な待遇低下とか大きな流れとしてあったわけで、それを踏まえて誰がアクションをどういう順でとったかというだけのことです。憲法改正にせよほかのことにせよ、押しつけられたかどうかというのはみんな同じです。
いってみれば戦後体制は「半」強制による産物です。ある意味で手打ちです。自分で何かするといっても、GHQに言われる前に先回りしてということも多かったのです。