甲子園決勝戦は国際試合の様相だったのでしょうか?京都国際に韓国尹錫悦大統領のエールも届いたのか、見事に優勝しました。京都がセンバツの頂点になったのは68年ぶり。そしてその京都国際の生徒数は女子約70名を合わせても約140名のミニ学校。驚くべきは男子生徒約70名のうち、野球部所属が61名。これでは京都国際野球高校と改名した方がよいのかもしれません。そして尹大統領が推す理由は同校が旧朝鮮学校であり、現在もその流れを汲み、教育に韓国語が組み込まれ、卒業すれば韓国の高校卒のステータスも頂けるそうです。暑い夏、熱い甲子園、そして韓国系ミニ高校がさらった優勝旗に対して全国の高校には発奮を促したいところです。
では今週のつぶやきをお送りいたします。
下がるアメリカ金利、上がるかもしれない日本金利
パウエル議長がジャクソンホールの講演で「金利を調整すべき時(The time has come for policy to adjust)」と述べました。内容にサプライズ感はなく、市場も既に9月の利下げは織り込み済みですが、むしろ、年内さらに追加利下げのニュアンスがあるのかというところだと思います。個人的にはあるとみています。金利の上げ下げはOn Offのスイッチではなく、いかに適度に保つかの調整弁なのです。例えるならお湯を適温で沸かし続けるのに初めは強火で沸騰させた後、中火や弱火で調整しますよね。それと同じ。
よって今の金利水準はお湯がボコボコ沸騰し続けている無意味な抑制状態ですので適度な中火にまで下げる、これが正しい発想だと思います。その思考であれば将来的に今の金利水準は今の5.50%の半分以下である2.50%程度をまずは目指す、そういう発想でよいと思います。これにより期待インフレ率が2.50%程度の場合、消費が過熱しすぎず、落とし込み過ぎず、というレベルになるからです。アメリカのインフレ率がどうなるか、これは次期大統領の政策次第で予想は変わります。ですが、ボトムラインはアメリカは成熟国なので本質的には物価がどんどん高騰する絶対的理由はなく、仮にそうだとすればアメリカが弱体化していると私は捉えています。
一方の日本。学究者の集まりであるジャクソンホールに行けず、閉会中の国会審議にお付き合いさせられた植田日銀総裁。言葉を選んだようですが、基本的には中立金利まで引き上げる、よってあと数段の利上げがあることを内包しています。前回の引き上げ幅はわずか0.15%。次回も通常の0.25%ではなく刻む可能性がありますが、今は金利がある世界を人々のマインドの中に植え付ける過程にある、そういう風にとらえています。株価が暴落した際、ハト派とされる内田副総裁のコメントで落ち着きを取り戻しましたが、あくまでも表現力と市場との対話の問題であり、植田さんも内田さんも思想は同じだとみています。
なぜ辞めない、斎藤元彦知事
ある意味、強い精神力を持っている、それが第三者の目線で見た斎藤元彦兵庫県知事であります。これだけ連日騒がれ、間接的にお亡くなりなった方がいて、「おねだり」にパワハラの事実がよくもこれだけ出てくるものだと思うのですが、のらりくらりとかわし続けています。辞めない理由に知事報酬とか退職金といった話もあります。一理あるでしょう。「おねだり」の内容からすると斎藤氏が後天的に育んだ性格で無意識のうちにそう言っているとしか思えません。つまり人から貰うことに快感があるのですが、その背景は若い時に経済的な問題を抱えていたのではないかと察します。平たく言えば「卑しい系」です。
パワハラ的な言動については自己過信が背景にあるのでしょう。氏の家系はそう悪くなく、親戚は街の名士だったようです。その点から「上から目線」が何らかの形で醸成され、更に東大から総務省、知事というエリートっぽい流れが更に後押ししたとみています。これらを見て思うのは選挙における人の選択は実に難しいものだということです。10日から2週間程度の選挙期間の間で候補者の表層上の公約をいくら聞かされてもその方の性格を分析することはほぼ不可能だからです。自民党総裁選ぐらいになるとメディアが長年捉え続けてきた「人格の証拠」があるので性格はある程度想定できるのですが、地方選だとさっぱりわからない、これが実情ではないかと思います。
政治家にしろ、普通の会社に勤務する人にしろ、業務とパーソナリティは区別する、これが原則であります。会社の場合は社内ルールや社会的行動規範の縛りがありますが、トップの場合には自己抑制だけが頼りになります。故に斎藤氏のようにタガが外れていても本人にその意識がないため、「あれ?俺何か悪いことしているのかな?」と本心で気がついていない、よって自らの理論武装において「俺、辞める理由なんて一つもないじゃんか」ということなのかと思います。一言で言えば宇宙人なのでしょうね。
日本企業は買収の対象になりうるか?
カナダのアリマンタシォン クシュタールによるセブン買収提案を受け、円安事情もあり、日本企業は今後、海外による買収の嵐になるのではないかという一部専門家の見方があります。私は日本企業買収はそんな簡単な切り口ではない、と考えています。専門家の論拠は数字が主導します。企業価値をつぶさに分析し、買収価値があるかどうか、そういう観点からみて日本企業は狙われる、そう見るわけです。
ですが会社という器はそんなシンプルなものではないのです。事業者として長い歴史、従業員という魂と活力、そして一番難しいのは経営陣から従業員の末端まで国際感覚が西洋と異質の日本であるという点です。欧米の経営者は欧米流の「切った張った」に長けています。人が多すぎればクビを切ることをいとも簡単にやってのけます。事業所の閉鎖もドライに判断します。1999年にカルロスゴーン氏が日産にやって来た時のあのぶった斬り経営を覚えている方もいらっしゃるでしょう。日本的には無茶なことでも彼らにしてみれば当たり前なのです。ところが今の情報化社会ではそんな無茶はやりにくい、これが経営問題として突き刺さるのです。
海外の経営者から見て日本人は理解しずらいはずです。日本人が海外の会社経営に苦戦するのと同じです。メンタルの違いがあるので直接経営というより間接的経営がどうしても主流になります。外国人社長も日本では増えましたが武田のような国籍不明に近い企業ならともかく、例えば三菱ケミカルは外国人社長が成果を出せず、今年退任しました。外国企業が日本企業を買収した際、直接采配が取りにくいとなれば日本人傀儡の社長をたてざるを得ず、欧米企業にとっては面白くないのです。この辺りは数字で生きる専門家はスルーしてしまうのです。
後記
久々に野球を見に行きました。バンクーバーカナディアンズ。ランク的にはマイナーリーグのA⁺でトロントブルージェイズの傘下。個別の選手を知っているわけではないのですが、夏の野球観戦の雰囲気は楽しく風物詩といえるでしょう。観客はマイナーリーグながら数千人はいてマスコットや様々な盛り上げイベントも織り込み、観客を楽しませます。客はほとんど白人。マイナーリーグながらも一喜一憂する大人や子供と共に無心に楽しみました。この球場は一塁側内野席の一部でBBQをやりながら野球観戦ができるという面白い仕組みがあるのですが、行ったときはちょうど工事中でした。BBQとビールと野球。これ以上の組み合わせを私は思いつきません。あー、楽しかった。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年8月24日の記事より転載させていただきました。