「パリ五輪はなぜ海外で高く評価されるのか?日本での批判が見当違いすぎるワケ」という記事をDIAMOND onlineに書いた。詳しくは記事をご覧頂きたいが、ここでは、選手村の問題やセーヌ川汚染問題などを紹介しておきたい。
「選手村にエアコンがなかった」「ベッドが段ボール製だった」「食事は非動物性食品が多く、物足りなかった」ということも批判された。
なにしろ、五輪は地球環境に悪影響を与えるという批判を浴びている。その中には、選手・役員や観衆の移動に伴う温室効果ガス排出も含まれる。このため、パリ五輪はこれまでの夏季五輪より二酸化炭素排出量を半分にすることを目標とした。
会場のほとんどは既存もしくは仮設のものとし、家具や設備の90%は二次利用し、食事の50%は植物ベースにした。
こうしたことは招致の時の約束であるから、快適性が損なわれても文句を言うほうがおかしい。
大会期間中の気温については、最高気温が30度以上になったのは、15日間で3日だけで、5日間は20度以下だった。エコ五輪なのだから、寝苦しい夜が何日かあっても我慢してほしかったが、選手側の要望が強かったのと例年よりは暑かったので、しぶしぶ各自で簡易エアコンを持ち込むことを許可しただけだし、フランス選手団を優先したと言うのは嘘である。
段ボール製のベッドは東京五輪の時に日本で開発したもので、東京でも不評だったがエコの観点から再採用したものだし、肉を減らした食事も、各国の了解をとってのものだったが、選手の不満もあったので少し肉を増やして妥協した。
こんなことすべて立候補の段階で説明しそれが評価されて誘致に成功したのだから勝手に変えられないし、各国は文句言うべきでないし、選手がガタガタいうなら説得すべきだ。
パリ五輪の選手村を東京の代々木公園の辺りにあてはめると、会場はほとんど、渋谷・千代田・港・中央区あたりの距離に収まっており、地下鉄が利用できるので、バスなどの利用は最小限にした。
主催者側は、できるだけエコ五輪に徹しつつ、様子を見ながら最小限の妥協をしたのであって、間違った方針とはいえない。
セーヌ川のトライアスロンは、必死の努力をして、環境改善のテストケースにし、パリのイダルゴ市長が自分で泳いでみせ、強行した。一部の選手から不満が出たが、東京五輪のトライアスロンでも、批判を抑えて水質が良くないお台場で強行開催したのを日本人は忘れている。2016年のリオ五輪も同様の問題であって、いずれの場合でも嘔吐した選手もいた。そもそも、都市型トライアスロンは難しい。
そもそもいえば、東京で酷暑に開催することの過酷さは人道的だったのかだって忘れてはならない。