人生は「正解がない問題」がほとんど

黒坂岳央です。

仕事柄、よく人生相談される。そこで感じることの一つが「悩みや課題のすべてに正解があるはず」と考える人は非常に多いということだ。

大衆が支持する「これぞ正解」とされるものもある。だが厳密には答えなどではなく、意見に過ぎない。

考えなしに答えらしきものに飛びつくのではなく、自分なりに仮説を立て自分の力で「答え」に昇華させることが幸福度を高めると思っている。

yamasan/iStock

生き方に正解はない

生き方と一口に言っても様々、仕事や結婚、子供の有無、住む場所やライフスタイルである。

そんな生き方には正解がない。自分の場合、いろんな人からいろんな意見を言われてきたが、意見に乗ることはせず自分で決断をしてきた。どれだけ多くの人が「いいね」を押すような意見でも、アクセスを集めるものでも自分にはまったく当てはまらないことは少なくなかったのだ。

たとえば仕事、「せっかく苦労して東証一部上場に入れたのだから、簡単にやめてはいけない。二度と就職できなくなるぞ」と散々脅されたが、独立して良かった。

「子供が生まれると仕事に影響する。子煩悩になるとテストステロン値が下がりビジネスで保守的になる。今はまだ時期ではないのでは?」という「子供は仕事にネガティブ」という記事や動画は山ほど見てきたが、実際に子供が生まれたら真逆だった。

育児は本気で取り組み、朝昼夜3食作り、買い物やお風呂まですべて自分がやっているし、仕事は子供がいることで「背中を見られている」という感覚でそれまで以上に頑張れている。パーソナルトレーナーをつけて筋トレもはじめ、40代からプログラミングも独学で学び始めた。自分の場合、子供が生まれたことでむしろ、ビジネスにポジティブな影響が起きたのだ。

また、「東京から地方に移住すると競争心が削がれてビジネスマンとして弱体化する」という意見も多いが、むしろ周囲が牧歌的なことに危機感を持って毎日朝5時から精力的に働いている。

さらに「海外に移住すると節税メリットがある」という意見も多いが、自分の場合は日本経済に貢献したい気持ちが非常に強く、他国より母国にお金を落としたいという価値観がある。旅行で宿泊するホテルや買い物などもできるだけ外資ではなく、日系企業を利用するようにしている。どれだけ税メリットを提案されても、今の時点で他国へ移住したいとは思わないのだ。

以上の通り、自分はこれまでの人生で、他人からの意見は一つも当たった記憶がない。だから「他人の意見=答え」とは解釈はしないし、そうする態度が良くないとすら思っている。答えは最初から最後まで自分で考えるものだ。

「答え」も変化していく

さらに一度見つけた答えも、時代の変化でドンドン変わっていく。定期メンテナンスをする必要があるだろう。

自分の持っている仕事はこれまで、Excelの関数を駆使して限界まで最適化してきたという感覚がある。データを取り込んで所定のセルに貼り付ければ、後は自動計算が走って複雑な処理は不要、「これで完璧!」と思っていた。

しかし、最近PythonやVBAを勉強し、自分でプログラミングを覚えたことでこれまでやっていた流れが一変した。完璧だと思っていたデータの取り込み処理すらも自動化できてしまうのだ。Windowsサーバー機のタスクスケジューラで事前に作成したバッチ処理を読み込めば、すべてが全自動で完結する。これなら処理忘れや、旅行中も気にする必要はない。

上記を可能にしたのは生成AIである。プログラミングは簡単ではなく、度々エラーで詰まる。だが生成AIにコードを貼って改善アドバイスを受けながらついに独力で完成させる事ができた。100%独力で実現を目指していたら遥かに時間がかかっていただろう。

数年前に不可能だったことが、生成AIの登場で可能になったのだ。だから自分の今やっている仕事に「完成」はないと考えるくらいでいい。永遠に建設中のサグラダファミリアみたいなイメージで、常に改築工事を行う必要があるだろう。

生き方もそうだ。人生のステージが変わるごとに仕事も生活スタイルもドンドン変わる。その時々は最適解だった答えも、よりその時の自分にあった答えにアップデートする必要があるだろう。自分は今、地方に住んでいるが、子供の成長に合わせてこれから引っ越しを予定している。将来的に子供が巣立てば、そこでまた住む場所や仕事も変えていくだろう。

世の中に完全無欠の答えはない。無数の意見があるだけだ。もちろん、自分がこれまで書いてきた記事も例外ではなく、イチ個人の意見に過ぎない。自分の人生は自分のもの。答えを探しに行くのではなく、答えを決めるのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。