月曜日に防衛省に行ったら、防衛研究所の高橋杉雄政策研究部防衛政策研究室長を2回も近くで見てしまい、暗澹たる気持ちになりました。
本来防衛研究所はニュートラルな軍事のシンクタンクであるべきです。ところが岸田政権になってから、やたらと自民党の国防部会や安倍派閥のマペットになっています。高橋杉雄氏ら幹部が、メディアにコメンテーターや解説者として登場しています。
それで防衛費GDP2パーセントは正しい、使い方は比率をあげてから考えればいいみたいな話をしています。高橋杉雄氏は自ら、日本で数名の国際的に通用する優れた安全保障の専門家を自負していますが、まともな安全保障の専門家ならばそんな胡乱なことはいいませんよ。
単に自民党の主張を防衛研究所の肩書を使って、テレビや新聞などのメディアに出まくって世論操作をしているだけです。これは防衛当局のシンクタンクの仕事ではない。
しかも彼はストーカーまがいのことまで起こしておいて、移動にはなったが特に処罰されていない。
防衛省防衛研究所室長・高橋杉雄が群馬在住人妻に送った恥ずかしすぎる「卑猥なメール」
そのくせ主張は「あくまで個人の見解です」と言い訳するわけです。これは防衛費を増やすための非常に汚い世論誘導です。
ぼくは基本的に防衛省や自衛隊の人間がメディアで持論を展開するのは歓迎します。
ですが時の政権や与党の派閥の権力の走狗のようなことをやるならば、メディアにでることは全部禁止にすべきです。基本的に防衛研究所は政治から距離を置くべきで、その走狗になるなんてとんでもないことです。政治から圧力あっても断るべきです。
どうしても自分の利益のために与太話や世論誘導したなら、民間のシンクタンクにでも出ていくべきです。ハドソン研究所とかにいけばアメリカの犬として需要はあることでしょう。
そして防衛研究所は「姥捨山」としても機能しています。問題があったり、疎まれた職員を押し込めるために利用されています。そのような形で異動になった人間が真摯に職務に励むでしょうか。
メディア、特に記者クラブメディアの方も、こういういかがわしい下心で近づいて来る防衛研究所のスタッフを使うべきではないです。権威があって威張りの効く肩書で、公務員だからギャラも殆ど発生しないから、便利だから使うのでしょう。
ですが、それは与党の世論操作に協力することです。まあ記者クラブ自体が大政翼賛会みたいな広報組織だからいいのだと開き直るならば何も申しませんが。
【本日の市ヶ谷の噂】
空自は人材育成の重要ポジションの准教授配置を放棄し、陸自に依頼。配置された白石安永准教授は寄生虫のように大学の配置を利用する。助教の安藤医官は研究室の体をなさない環境にあきれ退職予定、莫大な予算を投じて整備した機材は全く使われずじまい。助教は陸自医官の配置だが、呆れた陸幕衛生部は後任の配置を置かない方針、との噂。
■
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。
軍事研究 2024年 08 月号
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年8月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。