黒坂岳央です。
昨今、米国のIT企業を中心に次々とフルリモート勤務の解除が報じられ、我が国でもそれに続く動きが見られている。この報道に対して「会社はリモートワークを解除するべきではない!転職する!」と反発する声を見かけることが多くなった。
多くが企業側の判断を批判する風潮に対し、会社側に理解を寄せる人の声も見られる。持論を展開したい。
リモートワークは生産性が落ちる
最初に結論をいえば、リモートワークはほとんどの人にとって生産性を落としてしまうワークスタイルである。そうでないなら、ベータドリブン経営で合理的な経営判断をして熾烈な競争を生き抜いた米国大手ITテックや金融機関が、一度始めたリモートワークをわざわざ解除するはずがない。この事実こそが前述を証明する強力な状況証拠となっている。
それでも尚、依然としてリモートワークを許している企業があるのは、あくまで優秀な人材を手放したくないだけであり、生産性が上がるからではないと考えるべきだろう。
特に新人はそれが顕著だ。隣に座るベテランの上司に直接教われば数分で解決できる問題も、リモートワークだと難しい。チャットだと聞きづらい、すぐ返信が来ない、テキストベースだと指示が分かりづらい、こうなってしまうと大変効率が悪くなる。また、上司の側も新人のリアルタイムの進捗が見えづらいのでマネジメントも完全ではなくなる。
リモートワークに向いている人もいる
もちろん、リモートワークで生産性が高まる人はゼロではない。一部の優秀なビジネスマンはリモートワークの方が向いている。
その特徴を簡単にいえば、セルフスターター人材でまったく監視の目がなくても、自ら仮説や企画を立ててドンドン仕事を進められる人だ。また、高度な専門性を有し、非常に高い集中力が求められるエキスパート職についている人である。こうした人材は周囲に人が歩き回るオフィスより、一人自宅で仕事をする方がパフォーマンスを高く出し続けるだろう。
しかし、こうした人は全体の中のごく僅かであり、あくまで例外だ。多くの人はセルフスターターではないからこそ、オフィス勤務というお金のかかる形態で意識的コミットメントを高める仕組みを企業が持っている。監視の目がなくても、毎日毎日、8時間サボらずに仕事に集中してオフィスに居るときより高いパフォーマンスを出し続けられる、そんな人は極めて限定的だ。人間は本来、怠惰でありオフィスに居る時以上に自走できるほど出来上がった生物ではないのだ。
結論的に多くの場合にリモートワークは生産性が落ちてしまう働き方で、パンデミックが落ち着いたこのタイミングで国際競争に勝つためにリモートワークを解除するのは当然の流れだ。企業はあくまで利益を追求する組織に過ぎない。
独立するのが一番確実
フルリモート勤務を強く希望し、リモートワークを解除する企業の対応に強く批判する人は「転職」という選択肢を考える。だが、どんな企業に転職をしても、そもそもフルリモートに耐えうる業務内容である仕事は限定的だ。
また、仮に現時点でフルリモート勤務を許していても、企業間競争で業績が厳しくなれば、会社も生き残りをかけて生産性を高める目的でリモートワークを解除する可能性は当然ありえる。年をとっても転職し続けられる労働市場強者は別だが、40代以降にそれをするのはかなり人を選ぶので現実的ではない。ではどうすればいいか?答えは独立である。
自分自身、10年以上前から週末起業をしていたが、その当時から自宅や有料自習室で自分のビジネスをしていた生粋のリモートワーカーである。始めた時は会社員だったので、リモートワークしかできなかった事情が幸いした。そこからはずっとリモートワークだ。リモートワークしかできない仕事、で生産性が高まる仕事だけをし続けてきたのだ。
独立すればリモートワークは好きなだけ続けられる。たとえばエンジニア職ならリモートワークと極めて相性がいい。クライアントワークでも、自分で事業を立ち上げるのでも自宅で仕事を続けやすい。仕事を取り続ける営業力を磨けば、いつまで続けられるか分からない転職という選択肢にベットするより遥かに勝ちやすい。
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昨今の人手不足で会社も特に優秀な人材は手放したくないと考えている。「一部の人にだけリモートワークを許可して他は出社」という企業もあるが、そうなると社内から不公平だと声が上がるのでなかなか難しい。ならいっそのこと独立してしまえばいいのだ。そうすれば一生リモートワークを続けることができる。リモートワーク勤務解除に不満を持つ人は、権利ばかり主張するのではなく、力をつけて独立することで特権を勝ち取ればいい。
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